昔の「工場のヒーロー」と今の「アイデアのヒーロー」

変化する時代とチーム作り

昔のビジネスの主役が「工場」だった時代、成功の合言葉は「効率化」でした。
これは、「いかに速く、同じものをたくさん作れるか」という競争です。

そのための最強の武器が「業務の標準化」、つまり徹底したマニュアル化でした。
ハンバーガーショップをイメージすると分かりやすいかもしれません。
誰が作っても、いつ食べても同じ味。
そのために、手順が細かく決められていますよね。
この時代は、決められたことを正確に、素早くこなすことが価値でした。

しかし、時代は大きく変わりました。
モノが溢れる現代、ビジネスの主役は「工場」から「人の頭脳」へと移りました。
今の成功の合言葉は「創造性」です。
これは「いかに他人と違う、すごいアイデアを生み出せるか」という競争です。

そのための最強の武器は、マニュアルではなく「斬新なアイデア」です。
今度は、星付きレストランの厨房をイメージしてみてください。
シェフたちは昨日と同じ料理を作るだけではありません。
知識や経験、ひらめきを総動員して、誰も味わったことのない一皿を生み出そうとします。
この時代では、一人ひとりの個性や発想こそが、会社の宝物になるのです。

「機械」から「人」へ。会社の宝物が変わった

経営の神様と称されるピーター・ドラッカーは、この大きな変化を次のように表現しました。少し分かりやすくしてみましょう。

「20世紀の会社にとって一番の財産が工場の『機械』だったとすれば、21世紀の私たちにとって一番の財産は、『頭脳で働く社員』とその人たちが生み出す成果そのものだ。」

「前の時代が成し遂げた偉業は、工場の作業スピードを50倍にまで高めたことだった。これからの時代に私たちが成し遂げるべき偉業は、社員のアイデアの量と質を、同じように爆発的に高めることである。」

私たちのような10人未満の小さなチームでは、高価な機械よりも、メンバー一人ひとりの「頭脳」こそが最大の武器です。
全員の知恵とアイデアを最大限に引き出し、掛け合わせること。
それこそが、これからの時代を勝ち抜く「強いチーム」作りの核心なのです。