仕事につながる自己紹介の作り方
なぜ自己紹介がビジネスの入り口なのか
交流会や商工会の集まり、取引先との懇親会。
そんな場所で必ず聞かれるのが「どんなお仕事をされているんですか?」という質問です。
この質問、実は大きなチャンスの入り口なんです。
でも、多くの経営者の方が、このチャンスをうまく活かせていません。
「うちは製造業です」「整体院をやっています」「コンサルタントです」
こんな風に答えて、会話が続かなかった経験はありませんか?
相手は「ああ、そうなんですね」と言ったきり、話題が途切れてしまう。
せっかくの出会いが、名刺交換だけで終わってしまう。
実はこれ、答え方を少し工夫するだけで、まったく違う展開になるんです。
今日は、その具体的な方法をお伝えします。
曖昧な答えから、具体的な答えへ
ある整体院の院長の実例を見てみましょう。
この方は、経営者の集まりで「何をしているか?」と聞かれるたびに困っていました。
何度も同じ質問をされるので、自分なりに答えを工夫し始めたんです。
最初は「肩こりや腰痛の施術をしています」と答えてみました。
次に「慢性的な痛みを根本から改善する整体をしています」と言ってみたり、「身体の歪みを整える施術を行っています」と表現を変えてみたり。
でも、どれもいまひとつ反応が薄かったそうです。
周りには整体院や接骨院がたくさんあって、自分の院の特徴が伝わらない。
そこで、さらに絞り込んで考えました。
自分の患者さんで一番多いのは誰だろう?
その人たちが一番困っていることは何だろう?
そして行き着いたのが「経営者の慢性腰痛」でした。
答えを「座りっぱなしの仕事で腰が痛い経営者が、仕事を休まずに改善できる整体をしています」に変えた途端、その場で「それ、まさに私のことだ!」と言われるようになったんです。
単純に「整体をやっています」と業務内容を伝えていた時は、まったく反応がありませんでした。
でも「経営者の腰痛を、仕事を休まず改善」という、相手が興味を持つような表現にすることで、出会いが仕事に結びつくようになったのです。
なぜこの変化が起きたのか
ここには大切なポイントが3つ隠れています。
1つ目は「相手の悩みに直結している」こと
「整体をやっています」と言われても、聞いている側は自分とどう関係があるのか、ピンときません。
でも「座りっぱなしの仕事で腰が痛い経営者」と聞けば、「まさに自分のことだ。毎日デスクワークで腰が痛いけど、病院に行く時間もない」と、自分事として受け止められるんです。
これは、お医者さんに例えるとわかりやすいかもしれません。
「内科医です」より「胃の痛みを30分で診断して、その日のうちに楽にする治療をしています」と言われた方が、胃が痛い人にはグッと響きますよね。
2つ目は「具体的な成果が想像できる」こと
「仕事を休まずに改善できる」という表現は、使った後の未来が目に浮かびます。
忙しい経営者にとって、仕事を休まなくていいというのは大きな安心材料。しかも痛みが改善するなら、一石二鳥です。
これは、まるで「このダイエット器具で1日5分運動すれば、3ヶ月で5kg減」と言われるようなもの。結果が具体的だと、欲しくなりますよね。
3つ目は「絞り込んでいる」こと
「腰痛全般」「身体の不調全般」という広い範囲より、「経営者の腰痛」という一点に絞った方が、逆に印象に残ります。
人は選択肢が多すぎると決められませんが、「これ専門」と言われると信頼できるんです。
街の定食屋さんより、「カツ丼専門店」の方が「きっとおいしいカツ丼が食べられる」と思いますよね。それと同じ原理です。
別の事例:町の電気屋さんの場合
もう一つ、別の事例を紹介します。
ある町の電気屋さんは、何十年も「家電販売・修理」を営んでいました。
でも大型家電量販店に押されて、売上は年々下がっていました。
この社長さん、地域の集まりで自己紹介するときは、いつも「電気屋です」「家電の販売と修理をしています」と言っていました。
でも、誰も興味を示さない。
みんな家電は量販店で買うからです。
そこである日、自分の強みを見つめ直しました。
量販店にできなくて、自分にできることは何だろう?
答えは「高齢者のお宅で、電化製品の使い方を教えながら設置する」ことでした。
量販店で買ってきたテレビのリモコン操作がわからない、スマホと連動する家電の設定ができない。
そういう高齢者の困りごとを、何度も解決してきた実績があったんです。
そこで自己紹介を変えました。
「70歳以上の方が、新しい家電を迷わず使えるまで、何度でもお伺いしてサポートする電気屋です」
この答えに変えてから、紹介が紹介を呼ぶようになりました。
「うちの親が困っているから、来てもらえますか?」という依頼が増え、今では高齢者向けの家電サポートが主力事業になっているそうです。
同じ「電気屋」でも、「誰のどんな困りごとを解決するのか」を明確にしたことで、必要としている人に届くようになったんです。
あなたの事業にも当てはまる考え方
ここまで読んで、「うちの業種は専門的だから、簡単に説明できない」と思った方もいるかもしれません。
でも、どんな業種でも、この考え方は使えます。
たとえば税理士なら「税務申告をしています」ではなく「税務調査が来ても慌てない帳簿づくりをサポートしています」と言えば、税務調査が不安な経営者の心に刺さります。
製造業なら「金属加工をしています」ではなく「他社が断った複雑な形の部品を、1個から作れる町工場です」と言えば、困っている人が探し出してくれます。
清掃業なら「ビル清掃をしています」ではなく「オフィスの空気をきれいにして、社員の病欠を減らす清掃をしています」と言えば、従業員の健康を気にかける経営者が興味を持ちます。
コツは3つです。
まず「誰の」を明確にする。
すべての人ではなく、特定の誰かを思い浮かべる。
次に「どんな困りごとを」を見つける。
その人が夜も眠れないほど悩んでいることは何か。
最後に「どうやって解決するか」を、成果が想像できる言葉で表現する。
今日から実践できること
では、具体的にどうすればいいでしょうか。
ステップ1:紙に書き出してみる
「あなたは何をしている人ですか?」という質問に対して、今までどう答えていたか、書き出してみてください。
そして、それを聞いた相手が、どんな反応をしていたか思い出してください。
ステップ2:お客さんの声を思い出す
これまでのお客さんから「助かった」「これが欲しかった」と言われたのは、どんな場面でしたか?それがヒントです。
ステップ3:3つの質問に答える
・私のサービス・商品は「誰の」ためのものか?(できるだけ具体的に)
・その人は「どんなことで」困っているか?
・私のサービス・商品を使うと「どうなる」か?(成果を具体的に)
ステップ4:一文にまとめる
この3つを組み合わせて、一文にしてみてください。
長くても構いません。
まずは文章にすることが大事です。
ステップ5:実際に使ってみる
次の名刺交換や自己紹介の場で、実際に使ってみてください。
相手の反応を見ながら、少しずつブラッシュアップしていきましょう。

まとめ:自己紹介は、あなたのビジネスの入り口
「何をしている人ですか?」という質問は、ビジネスの入り口です。
その答え方ひとつで、その後の展開がまったく変わってきます。
業務内容を説明するのではなく、「誰のどんな困りごとを、どう解決するか」を伝える。
これだけで、出会いが仕事につながる確率は格段に上がります。
最初からうまくいかなくても大丈夫です。
今日紹介した整体院の院長も、何度も表現を変えながら、自分の答えを見つけていきました。
大切なのは、一度決めたらそれで終わりではなく、相手の反応を見ながら改善し続けること。
あなたのサービスを必要としている人に、確実に届く言葉を探し続けることです。
次の名刺交換の機会に、ぜひ試してみてください。
「この人と仕事をしたい」と思ってもらえる自己紹介ができれば、あなたのビジネスは大きく変わります。
小さな言葉の工夫が、大きなチャンスを生み出すのです。
