利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「売れる言葉」には順番がある—USP・タグライン・キャッチフレーズの正しい使い方

「売れる言葉」には順番がある—USP・タグライン・キャッチフレーズの正しい使い方

商品の価値を正しく伝える戦略

はじめに

「うちの商品、いいものなのに、なぜか売れない……」

そんなお悩みを抱えている経営者の方は、とても多いです。
品質には自信がある。
スタッフも一生懸命働いている。
それでも、なかなかお客さまに届かない。

その原因のひとつが、「売れる言葉の設計」にあることがよくあります。

今回は、マーケティングの現場でよく使われる3つの概念—USP(独自の強み)・タグライン・キャッチフレーズ—を、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。
この3つを正しく理解して使いこなすだけで、あなたのビジネスの「伝え方」が大きく変わります。

商品の「特徴」と「強み(USP)」は、まったく別物です

まず、多くの方が混同しがちな大切なポイントからお話しします。

「うちのパンは天然酵母を使っています」
「うちのサービスは24時間対応しています」

これは商品の「特徴」です。でも、これだけでは「強み(USP)」とは言えません。

USPとは英語で「Unique Selling Proposition」の略で、日本語に訳すなら「他にはない、自分だけの売り」という意味です。

ポイントは、必ず「競合と比べたときに、どう違うか」という視点が必要だということ。
競合がいなければ、USPという概念そのものが成り立ちません。

たとえば、あなたが登山用の水筒を売っているとします。
「軽くて丈夫」という特徴があったとしても、他のメーカーも同じことを言っていれば、それはUSPになりません。
でも、「マイナス20度の環境でも凍らない唯一の水筒」であれば、それは立派なUSPです。

ここで重要な視点:「敵」は他社だけじゃない

USPを考えるとき、「競合=他社の商品」と考えがちですが、実はそうとは限りません。

「お客さまが今、何に時間・お金・エネルギーを使っているか」という視点で考えると、思わぬ「競合」が見えてきます。

たとえば、英会話スクールの本当の競合は、別の英会話スクールだけではありません。
「YouTube の無料動画」「スマホアプリ」「そもそも英語を勉強しなくてもいい、という考え方」なども競合になります。

自分の「敵」を正確に見極めることが、USPを磨く第一歩です。

タグラインは「戦略書」、キャッチフレーズは「呼び鈴」

次に、多くの方が混同しているタグラインとキャッチフレーズの違いについてお話しします。

この2つ、どちらも「短い言葉」という点では似ていますが、役割がまったく違います。

タグラインとは?

タグラインとは、「この商品・サービスは、誰に対して、どんな価値を提供するのか」を一言で表した言葉です。

わかりやすく言うと、「社内向けの羅針盤」のようなものです。
お客さまの目に直接触れることもありますが、本来の役割はビジネスの方向性を定めること。

たとえば飲食店であれば、「地元の食材で、忙しいお母さんの毎日を支える定食屋」というのがタグラインのイメージです。
これは戦略そのものを言葉にしたものです。

タグラインは、必ずキャッチフレーズよりも先に作ります。
なぜなら、タグラインという「設計図」がなければ、何を伝えるためのキャッチフレーズなのかがブレてしまうからです。

キャッチフレーズとは?

キャッチフレーズとは、「ターゲットのお客さまに、一瞬で『自分に関係ある話だ』と感じてもらうための言葉」です。

玄関の「呼び鈴」のようなものです。
押してもらえなければ、どんなに素晴らしい中身も伝わりません。

たとえば「疲れたお母さんに、ほっとひと息を」というキャッチフレーズがあれば、毎日子育てや仕事で忙しいお母さんは「あ、これ私のことだ」と感じてくれます。逆に「おいしい定食、始めました」では、誰の心にも刺さりにくい。

キャッチフレーズは、「ターゲットが自分ごととして感じられるか」が命です。

実際のビジネスで考えてみましょう—地方の整骨院の事例

少し具体的なイメージを持っていただくために、架空の事例をご紹介します。

静岡県内のある整骨院。院長は腕に自信があり、「丁寧な施術」「アットホームな雰囲気」を売りにしていましたが、新患がなかなか増えませんでした。

〈問題〉商品特徴だけをアピールしていた

「丁寧な施術」「国家資格取得者在籍」—これらはすべて「特徴」であり、近隣の整骨院も同じことを言っていました。
USPになっていなかったのです。

〈改善①〉競合を正確に見極めた

院長が「本当の競合は誰か?」と考え直したところ、気づいたことがありました。
来院する患者さんの多くが「ずっと我慢してから来る」タイプで、本当の競合は「他の整骨院」ではなく、「病院でもないし、まあ様子を見よう、という先送り」だったのです。

〈改善②〉タグラインを作った

「肩こり・腰痛を我慢している40〜60代の会社員・主婦が、初めて安心して来られる整骨院」というタグラインを設定。
これが戦略の軸になりました。

〈改善③〉キャッチフレーズに落とし込んだ

タグラインをもとに、「そのつらさ、もう一人で抱え込まないで。」というキャッチフレーズを作成。
チラシやホームページのトップに掲載したところ、「ずっと悩んでいたんですが、このフレーズを見て来てみました」という声が増えたそうです。

まとめ:「売れる言葉」を設計する3ステップ

以上をまとめると、売れる言葉を作るには次の順番があります。

ステップ1:競合を正確に定義する(USPを磨く)

「うちの商品・サービスは、誰と比べて何が違うのか?」を考えましょう。
競合は他社だけとは限りません。
お客さまが今どこにお金や時間を使っているかを想像すると、本当の競合が見えてきます。

ステップ2:タグラインを作る(戦略を言語化する)

「誰に・どんな価値を・なぜ自分だけが届けられるのか」を一文にまとめましょう。
これがすべての言葉の軸になります。

ステップ3:キャッチフレーズに落とし込む(お客さまの心に呼びかける)

タグラインをベースに、「ターゲットのお客さまが、一瞬で自分ごとに感じる言葉」を作りましょう。
難しい言葉は不要です。
むしろシンプルで、感情に寄り添う言葉の方が響きます。

「いい商品・サービスを作ること」と「それを正しく伝えること」は、別のスキルです。
でも安心してください。
この3ステップを意識するだけで、今日から「伝わる言葉」を作り始めることができます。

あなたのビジネスの強みは、必ずあります。
それをお客さまに届けるための「言葉の設計」、ぜひ一緒に磨いていきましょう。

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