利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「好かれる経営者」になるための、たったひとつの習慣

「好かれる経営者」になるための、たったひとつの習慣

他人に好かれる人間になるための心の持ち方

はじめに

「あの人のところには、なぜかお客さんが集まってくる」
「あの社長に頼まれると、なぜか断れない」

そういう経営者が、あなたの周りにも一人や二人いるのではないでしょうか。
特別なトーク術があるわけでも、見た目が飛び抜けて良いわけでもない。
でも、なぜか人が自然と寄ってくる。

その秘密は、実はとてもシンプルなところにあります。

「好き嫌い」が、あなたの器を決める

人に好かれるためには、まず自分が「あまり好き嫌いのない人間」になることが大切です。

少し立ち止まって、自分の胸に手を当てて考えてみてください。

あなたは、初めて会った人に対して、すぐに「この人は合わない」と感じてしまうことはないでしょうか。
取引先や業種、話し方、年齢……そういった表面的なことで、相手を素早く「好き・嫌い」に振り分けていないでしょうか。

もちろん、人間ですから好き嫌いが生まれるのは自然なことです。
問題は、その好き嫌いを「態度」に出してしまうことです。

好き嫌いが激しい人と話すと、相手はすぐに気づきます。
「この人は、自分を値踏みしているな」と感じた瞬間、心のシャッターが下りてしまいます。
逆に、どんな人に対しても同じように温かく接することができる人のそばには、人が安心して集まってきます。

これは、経営においても同じことが言えます。

経営者の「好き嫌い」は、会社の文化になる

経営者は、会社の中で最も影響力を持つ存在です。
あなたの価値観や態度は、そのまま会社全体の雰囲気や文化に染み込んでいきます。

たとえば、社長が「口数の少ない人が苦手」というスタンスを無意識に出していると、社内では「明るくハキハキしていなければいけない」という空気が生まれます。
その空気についていけないスタッフは、だんだんと心を閉ざし、やがて会社を去っていきます。

反対に、「どんなタイプの人でも、それぞれの良さがある」と心から信じている社長の会社には、多様な個性を持ったスタッフが活き活きと働いています。
おとなしい人はおとなしい人なりの丁寧さを発揮し、賑やかな人は場を盛り上げる力を発揮する。
そういうチームは、内側からエネルギーがあふれてきます。

好き嫌いを減らすことは、単に「いい人になる」ということではありません。
会社の可能性を広げる、経営戦略のひとつでもあるのです。

【事例】老舗和菓子店の三代目が気づいたこと

地方で80年以上続く和菓子店を引き継いだ三代目の店主・田中さん(仮名)は、40代前半のころ、深刻な悩みを抱えていました。

「職人気質の自分には、SNSで発信するような若い感覚が分からない」
「観光客向けのにぎやかなイベントは自分の趣味じゃない」
「洋菓子との掛け合わせなんて、本物の和菓子じゃない」

田中さんは自分の「こだわり」と「好き嫌い」を守ることが、老舗を守ることだと信じていました。

ところが、売上は年々少しずつ落ちていきます。
常連のお客さまは高齢化が進み、若い世代への認知がまったく広がらない。
スタッフも「何を提案しても否定される」と感じ、アイデアを出すことをやめてしまいました。

転機は、ある商工会のセミナーで同じ地域の飲食店経営者と話したことでした。
その方から言われた一言が刺さりました。

「田中さんは、お客さんを選んでるんじゃないですか?」

はっとした田中さんは、まず自分の「好き嫌い」を棚卸しすることにしました。
「これは本当に大切なこだわりか、それとも単なる自分の好みか」と、ひとつひとつ分けていったのです。

そして、「和菓子の素材と製法へのこだわり」は守りながら、「伝え方や売り方」については若いスタッフに任せることにしました。
SNSの発信、洋菓子店とのコラボ企画、地元の小学校への和菓子づくり体験教室……どれも、以前の田中さんなら「自分の趣味じゃない」と断っていたことです。

でも、任せてみると、スタッフたちが生き生きと動き出しました。
アイデアが次々と出てきて、店の雰囲気も明るくなった。
そして何より、「あのお店の人たちは、楽しそうでいいね」という口コミが広がり、新しいお客さまが来るようになったのです。

田中さんはこう振り返ります。
「好き嫌いを手放したら、お店が軽くなった気がしました。自分が守ろうとしていたものが、実は自分自身の器を小さくしていたんだと思います」

「憎まない心」を育てる、日常の小さな練習

では、好き嫌いを減らすためには、どうすればいいのでしょうか。
特別な訓練は必要ありません。毎日のちょっとした意識の切り替えで、十分です。

「なぜ、この人はこうするのか」と一度考えてみる

苦手だと感じる相手に出会ったとき、「合わない」と結論づける前に、「この人にはこの人なりの事情や背景があるのかもしれない」と考えてみましょう。
完全に理解できなくてもいい。「そういう考え方もあるのか」と受け止めるだけで、心の余裕がぐっと広がります。

自分の「こだわり」を定期的に見直す

「自分はこれが好きじゃない」というものを書き出してみましょう。
そのなかに、「本当に大切な軸」と「単なる個人の好み」が混ざっていることに気づきます。
前者は守っていい。
でも後者は、少しずつ手放してみてください。

「違う意見」を歓迎する練習をする

スタッフや取引先から、自分と違う意見が出たとき、まず「おもしろいね」と口に出してみる。
賛成しなくてもいい。
ただ、「あなたの意見を聞いた」というサインを送るだけで、相手の信頼感は大きく変わります。

まとめ

「他人に好かれるためには、まず自分があまり好き嫌いのない人間になること」

この言葉は、人間関係の話であると同時に、経営の話でもあります。

好き嫌いが少ない人のそばには、人が集まります。
人が集まれば、情報が集まり、アイデアが生まれ、ビジネスが動き出します。

器の大きさとは、身長や学歴で決まるものではありません。
「どれだけ多くの人を、温かく受け入れられるか」で決まります。

そしてその器は、毎日の小さな意識の積み重ねで、少しずつ、確実に大きくなっていきます。

あなたのまわりに人が集まる経営者になるための第一歩は、今日からでも始められます。
難しいことは何もありません。
ただ、目の前の人を、少しだけ丁寧に見てみる。それだけでいいのです。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry