利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「弱み」を「強み」に変えた瞬間、お客さまは熱狂的なファンになる

「弱み」を「強み」に変えた瞬間、お客さまは熱狂的なファンになる

弱みを強みに変えるファン戦略

はじめに:あなたのビジネスに、「熱烈なファン」はいますか?

「うちは小さいし、大手には勝てない」—そう感じている経営者の方は、きっと多いはずです。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。
「大手にはできないこと」が、あなたのお店や会社の最大の武器になる可能性があるとしたら、どうでしょう?

今回ご紹介するのは、プロレス団体「ドラゴンゲート」の戦略から読み解く、小さな会社だからこそできる「価値の逆転」と「熱烈なリピーターのつくり方」というお話です。

背景:なぜ「常識の逆」が成功を生むのか

ビジネスの世界には、「業界の常識」というものがあります。

飲食店なら「量が多いほど得」、小売店なら「種類が多いほど良い」、サービス業なら「実績が多いほど信頼される」—そんな”当たり前”が、業界ごとに積み重なっています。

ところが、その常識に乗っかっているだけでは、すでにその土俵で戦っている大手や老舗には、なかなか勝てません。

そこで注目したいのが、「常識の外側にいるお客さまを見つける」という発想です。

プロレスで言えば、従来のファンは「プロレスに詳しい男性」でした。
難しい技の名前を知っていて、長年の歴史やライバル関係を楽しむ、いわゆる”通”の人たちです。

しかしドラゴンゲートは、そこではなく「プロレスを一度も見たことがない女性」に目を向けました。
専門知識がなくても楽しめる演出、見ていてすぐわかる善悪の対比、華やかなアクロバティックな技—これらは、プロレス通の男性には「物足りない」と映るかもしれません。
でも、まったく新しいお客さまには「これなら楽しめる!」と映ったのです。

さらに、従来のプロレス界では「体が小さい=弱い」と見なされていました。
ところがドラゴンゲートは、小柄な選手の身軽さを「空中技の美しさ」として前面に押し出しました。
弱みをそのまま強みに変えたのです。
これは、あなたの会社の「小ささ」「規模の小ささ」「歴史の浅さ」にも置き換えられる、非常に重要な考え方です。

事例:地方の小さなパン屋が「熱狂的なファン」をつくった話

石川県のある小さなパン屋さんの話をご紹介します。

このお店は、駅から離れた住宅街にあり、駐車場も2台分しかない小さなお店でした。
品数も少なく、大手チェーンのベーカリーと比べると、圧倒的に「弱い」側にいると思われていました。

ところがこのお店の店主は、あえて品数を絞り、「毎週土曜日だけ焼く、季節の特別パン」を始めました。
しかも、そのパンの誕生までの過程—農家さんとのやり取り、試作の失敗談、素材選びの苦労—を、SNSで毎週少しずつ発信し始めたのです。

最初は数十人しか見ていませんでした。
でも、フォロワーたちは「このパンがどんなふうに生まれるのか」を毎週楽しみにするようになりました。
試食会の様子、常連さんの感想、次の月の素材のヒント……小さな物語が、週ごとに積み重なっていきました。

その結果、土曜日のパンは毎回「開店30分で完売」が当たり前になりました。
遠方から車で1時間かけて来るお客さまも現れ、「このお店のパンを食べるのが、週に一度の楽しみ」と語る常連さんが何人も生まれました。

このパン屋さんが持っていた「弱み」は、品数が少ないこと、場所が不便なこと、規模が小さいことでした。
でも、その「少なさ」が「希少感」に変わり、「不便さ」が「わざわざ行く価値」に変わり、「小ささ」が「店主との距離の近さ」に変わったのです。

大切だったのは、商品そのものだけでなく、「物語を共有し続けること」でした。

ポイント:リピーターは「商品」ではなく「物語」に惹きつけられる

ドラゴンゲートが発見したもう一つの重要な真実があります。
それは、「一度来てくれたお客さまをリピーターにするのは、試合(商品)ではなく、物語だ」ということです。

新人選手が成長していく姿、若手がベテランに挑む下克上、怪我から復帰した選手の再挑戦—こうしたドラマは、高校野球やJリーグの地方クラブを応援するファン文化とも共通する構造を持っています。
人は「商品のスペック」を追いかけるよりも、「誰かの成長や挑戦を応援すること」に、深く感情を動かされるものなのです。

あなたのビジネスに置き換えると、こういうことです。

・新しいメニューや商品を開発する過程を見せる
・スタッフが成長していく様子を発信する
・失敗した話、苦労した話を正直に伝える
・お客さまと一緒に何かを育てていく仕組みをつくる

「完成されたもの」を売るだけでなく、「進行中の物語」を共有することで、お客さまは「自分もこのお店(会社)の一部だ」という感覚を持ちます。
そうなると、「また来たい」「応援したい」という気持ちが自然と生まれてくるのです。

まとめ:小さいからこそ、できることがある

今日の話を、3つのポイントで整理します。

「業界の常識」の外側に、新しいお客さまがいる

すでに競争が激しい場所で戦うのではなく、まだ誰も手を差し伸べていないお客さまを探してみましょう。
「この商品(サービス)を、まったく使ったことがない人」に届けるとしたら、どうすればいいか?その視点が突破口になります。

「弱み」は、見方を変えれば「強み」になる

小さいから気が利く。
歴史が浅いから柔軟に動ける。
品数が少ないから一つ一つを大切にできる。
規模が小さいからこそ、大手にはできない「人間らしさ」と「距離の近さ」を武器にできます。

リピーターをつくるのは「物語の共有」

一度来てくれたお客さまに何度も戻ってきてもらうには、商品の品質を高めるだけでは不十分です。
あなたのお店や会社が「今、どこへ向かっているのか」を、言葉や写真や動画で伝え続けること。
それが、応援してくれるファンを生む一番の方法です。

「うちは小さいから……」と思っていたことが、実は最大の魅力だったと気づく瞬間が、きっとあなたにも訪れます。

今日から、あなたの「弱み」を、もう一度見直してみてください。
そこに、熱狂的なファンを生む種が、きっと眠っているはずです。

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