見込み客を「外観だけの判断」から変える方法
あなたのお店、本当に知られていますか?
「うちのお店、この地域では知名度があるはずなのに、なかなか新規のお客様が増えないんです」
こんな悩みを持つ経営者の方は少なくありません。
看板も出している、店舗も目立つ場所にある、営業年数も長い。それなのに、思うように売上が伸びない。
その理由は、実は意外なところにあるかもしれません。
あなたのお店の前を毎日通る人たちを思い浮かべてください。
彼らは確かに、あなたのお店がそこにあることを知っています。
2年前から、5年前から、いや、もしかするともっと以前から、その存在には気づいているはずです。
でも、利用していません。
なぜでしょうか?答えはシンプルです。
その人たちは、あなたのお店の「必要性」を感じていないのです。
だから、何かを探すときに思い出したとしても、候補から外されてしまう。選択肢として検討すらされないのです。
「外観だけの判断」という大きな誤解
では、このような見込み客を、あなたは諦めなければならないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
むしろ、ここに大きなチャンスが隠れています。
なぜなら、この見込み客の多くは、あなたのお店を一度も利用したことがないはずだからです。
実際に体験していないのに、「自分には必要ない」「自分には合わない」と思い込んでいる。
つまり、彼らは建物の外観や看板、なんとなくの雰囲気だけで判断しているに過ぎないのです。
「あの店は、なんとなく敷居が高そう」
「私みたいな人が行く店じゃない気がする」
「高そうだな」
「若い人向けかな」
こうした印象は、多くの場合、実際の中身とはまったく違います。
店の外から見える情報だけで、勝手にイメージを作り上げ、自分とは関係のない店だと決めつけているのです。
この状態を「外観は知っているけれども、中身は知らないお店」と呼びましょう。
看板や建物は認識されているけれど、そこでどんな人が、どんな思いで、どんなサービスを提供しているのか、まったく知られていない状態です。
逆に言えば、この「中身」を知ってもらえれば、状況は大きく変わる可能性があるということです。
「中身」を伝える努力が顧客を呼ぶ
では、どうすれば「中身」を知ってもらえるのでしょうか。
それは、継続的に情報を発信し続けることです。具体的には、次の3つを伝えていきます。
どんな人がやっているのか
経営者やスタッフの人柄、経歴、専門性を伝えましょう。
「この道20年のベテラン職人」「子育て経験を活かしたサービス」といった情報は、親近感や信頼感につながります。
どんな技術・商品・サービスなのか
具体的に何ができるのか、どんな品質なのか、他とどう違うのかを示します。
専門用語は使わず、お客様目線で「こんなことができる」「こんな悩みを解決できる」と伝えることが大切です。
どんな思いでやっているのか
なぜこの仕事をしているのか、どんなお客様に喜んでほしいのか。
その「想い」こそが、最も人の心を動かします。
これらを、ブログ、SNS、チラシ、ニュースレター、店頭掲示など、さまざまな方法で発信し続けるのです。
すると、少しずつ変化が起こります。
「外観は知っているけれども、中身は知らなかったお店」が、
「外観も知っていて、中身も知っているお店」に変わっていくのです。
そして、いざその人が「何か必要だな」と思ったとき、真っ先に思い出してもらえる存在になります。
「あ、あそこなら私の悩みを解決してくれそう」「あの人になら安心して任せられる」と感じてもらえるようになるのです。
【事例】税理士事務所が情報発信で変わった話
地方都市で税理士事務所を営むAさん(45歳)の例を紹介しましょう。
Aさんの事務所は駅前の目立つビルに入居しており、開業10年で地域での認知度は高いはずでした。
しかし、新規の相談は年に数件程度。ほとんどが知人の紹介で、飛び込みでの問い合わせはほぼゼロという状況でした。
「税理士なんて、みんな同じだと思われているんだろうな」とAさんは諦めかけていました。
転機は、ある経営者向けセミナーで「情報発信の重要性」を学んだことでした。
試しに始めたのが、月1回のニュースレターと週2回のSNS投稿です。
内容は、税務や経営に関する難しい話ではありません。
「確定申告の時期、こんな書類を準備しておくと楽ですよ」
「経費にできるもの、できないもの、よくある勘違い」
「小さな会社の資金繰り、私はこう考えています」
といった、専門知識を持たない経営者が「へぇ、そうなんだ」と思える身近な話題を、わかりやすい言葉で伝え続けました。
また、「3人の子育てをしながら税理士をやっています」「地元の商店街活性化にも関わっています」といった、人となりが分かる情報も織り交ぜました。
半年後、変化が現れました。
SNSの投稿を見た地元の飲食店経営者から「実は経理で困っていて…」と相談が。
その後も「ニュースレターを読んで、相談しやすそうだと思って」という問い合わせが月に2〜3件入るようになりました。
「税理士事務所なんてどこも同じで、敷居が高い」と思っていた人たちが、Aさんの発信を通じて「この人なら気軽に相談できそう」「小さな会社の気持ちを分かってくれそう」と感じるようになったのです。
今では新規相談は月5〜6件に増え、紹介での案件も増えています。
「○○さんのSNS見て面白かったって、うちの取引先が言ってたよ」という声も届くようになりました。
Aさんは言います。
「結局、私が変わったわけじゃないんです。ずっと同じサービスを提供していた。ただ、それを知ってもらう努力を、今までしていなかっただけなんだと気づきました」
すぐに始められる「中身を伝える」実践法
では、具体的にどこから始めればよいのでしょうか。
小さな一歩から始められる方法をご紹介します。
ステップ1:自分の「当たり前」を棚卸しする
あなたにとって当たり前の知識や経験は、お客様にとっては「知らなかった!」という価値ある情報かもしれません。
まずは、自分が提供できる情報を書き出してみましょう。
ステップ2:お客様の疑問を想像する
「これって何?」「どう使うの?」「いくらくらい?」お客様が抱きそうな疑問をリストアップします。
それに答える形で情報を発信すれば、必ず誰かの役に立ちます。
ステップ3:続けられる方法を選ぶ
SNS、ブログ、ニュースレター、店頭掲示板など、方法は何でも構いません。
大切なのは「続けること」です。
自分が無理なく続けられる方法を選びましょう。
週1回でも、月1回でもいいのです。
ステップ4:完璧を求めない
最初から上手に書こうとしなくて大丈夫。
むしろ、飾らない等身大の言葉の方が、親しみを持ってもらえます。
写真もスマホで十分。
「伝えたい」という気持ちが何より大切です。
情報発信は「種まき」である
すぐに効果が出ないからといって、諦めてはいけません。
情報発信は、畑に種をまくようなものです。
種をまいた翌日に芽が出ることはありません。
でも、水をやり続け、手入れを続ければ、いつか必ず芽が出て、花が咲き、実を結びます。
あなたの発信を見た人が、すぐに来店するとは限りません。
でも、その情報は確実に誰かの記憶に残ります。
そして、その人が「そういえば、あの店…」と思い出す日が、必ず来るのです。
「外観だけ知っている店」から「中身も知っている店」へ。
この変化を起こすのは、大掛かりな広告でも、高額な投資でもありません。
あなた自身の言葉で、あなたのお店の「中身」を地道に伝え続けることなのです。

まとめ:小さな発信が、大きな変化を生む
存在は知られているのに選ばれない。
その理由の多くは、「中身」が知られていないからです。
お客様は、外観や看板から受ける印象だけで、「自分には関係ない店」と判断してしまいます。
でも、それは誤解かもしれません。
実際に利用すれば、「こんなに良い店だったのか!」と思ってもらえる可能性は十分にあるのです。
だからこそ、諦めずに伝え続けましょう。
どんな人が、どんな技術で、どんな思いで、お店をやっているのか。
それを知ってもらえたとき、見込み客は「ただ存在を知っている店」から「信頼できる店」「行ってみたい店」へと変わります。
大切なのは、完璧さではなく継続です。
小さな一歩でいいのです。
今日から、あなたのお店の「中身」を、一人でも多くの人に伝えていきませんか?
その積み重ねが、いつか大きな実りとなって、あなたのもとに返ってくるはずです。
