信用を勝ち取る商品の伝え方
なぜ「自分でアピール」しても響かないのか?
インターネットで何かお店を探すとき、あなたはどんな情報を参考にしていますか?
たとえば、初めて行く街で美容院を探すとします。
検索すると、どのお店も「技術力には自信があります」「お客様一人ひとりに寄り添った丁寧なカウンセリング」「最新のトレンドを取り入れたスタイル提案」といった言葉が並んでいます。
どれも立派なことが書いてありますが、正直なところ、どこまで信じていいのか迷ってしまいませんか?
これは、私たちが日常的に経験している「売り手の言葉には、どうしても疑いの目を向けてしまう」という心理が働いているからです。
考えてみれば当然のことです。
お店の人が「うちの商品は最高です」と言うのは、いわば当たり前。
自分の商品を悪く言う人はいません。だからこそ、お客様は「本当かな?」と半信半疑になってしまうのです。
これは、あなたのビジネスでも同じことが起きている可能性があります。
どれだけ良い商品やサービスを持っていても、自分の口から「うちは良いですよ」と宣伝しているだけでは、なかなかお客様の心には届きません。
では、どうすれば信用してもらえるのでしょうか?
「第三者の声」が持つ、圧倒的な説得力
ここで、ひとつの法則をお伝えします。
「自分で言う100回より、他人に言ってもらう1回」
これは、マーケティングの世界では古くから知られている原則です。
でも、難しく考える必要はありません。
私たちの日常生活を振り返れば、すぐに実感できることです。
たとえば、友人から「この前行ったイタリアン、すごく美味しかったよ」と聞いたら、行ってみたくなりませんか?
同じお店のホームページで「当店のパスタは絶品です」と書いてあるのを見るより、ずっと心が動くはずです。
これが「第三者の推薦」の力です。
特に効果が高いのは、その分野で信頼されている人からの推薦です。
同じ飲食業界のプロ、しかも一流の人が「ここは良い」と言っている。
これを見たお客様は「間違いない」と確信するでしょう。
事例:地方の小さなパン屋さんが、行列店になった理由
ここで、ある地方都市の小さなパン屋さんの話をご紹介します。
そのお店は、住宅街の中にある10坪ほどの小さな店舗でした。
オーナーは元々ホテルのベーカリー部門で修業を積んだ職人で、独立して5年。
味には自信がありましたが、立地が悪く、新規のお客様がなかなか増えませんでした。
ホームページには「厳選した国産小麦を使用」「毎朝4時から仕込む焼きたてパン」と書いていましたが、反応はいまひとつ。
「どこのパン屋も同じようなことを言っている」と思われていたのかもしれません。
転機が訪れたのは、地元で人気の料理研究家がSNSでこのパン屋のことを紹介したときでした。
「このクロワッサンは、私が今まで食べた中で一番バターの香りが豊か。家族の朝食がちょっと特別になります」
たった一つの投稿でしたが、翌週から店の前に行列ができるようになりました。
ポイントは、オーナーが何か特別なお願いをしたわけではないということです。
その料理研究家は、たまたまお店の近くに引っ越してきて、常連になっていました。
オーナーは普段通り、丁寧にパンを作り、接客をしていただけ。
でも、あるときオーナーが「よろしければ、お客様の声をSNSで紹介させていただいてもいいですか?」とお願いしたことがきっかけで、料理研究家も「私からも紹介させてくださいね」と言ってくれたのです。
その後、このパン屋さんは料理研究家の推薦コメントをホームページに掲載し(もちろん許可を得て)、店頭にも小さなポップを作りました。
それだけで、お店の「信頼感」は大きく変わりました。
身近にいる「推薦してくれる人」を探してみる
「でも、うちには有名人の知り合いなんていないよ」と思われるかもしれません。
ご安心ください。推薦者は、必ずしも有名人である必要はありません。
大切なのは、あなたのお客様から見て「信頼できる」と感じる人であることです。
たとえば、こんな人たちが推薦者になりえます。
・同業他社の経営者(競合でなければ、意外と協力してくれることがあります)
・取引先の担当者
・地元で信頼されている士業の先生(税理士、弁護士など)
・長年の常連のお客様
・地域の商工会議所の役員
ある工務店では、過去に家を建てたお客様に「推薦の声」をいただき、それを冊子にまとめてお渡ししています。
「○○さんご家族の声」「△△さんご家族の声」と、実名と写真付きで紹介することで、新規のお客様の不安を大きく軽減できているそうです。
もうひとつの武器:「受賞歴」や「ランキング」を活用する
第三者の推薦と並んで効果的なのが、過去の受賞歴やランキングを伝えることです。
「うちなんか、大した賞は取っていないから……」と思う方もいるかもしれません。
でも、ここで大切なことをお伝えします。
お客様は、その賞がどれほど権威のあるものか、実はよくわかっていません。
全国規模の大きなコンテストでなくてもいいのです。
地元の商工会議所が主催した品評会、業界団体の小さなコンクール、専門学校時代に受けた検定試験の成績—どんなものでも、「第三者から評価された」という事実は、お客様に安心感を与えます。
ある和菓子屋さんでは、30年前に地元の農協主催のコンテストで受賞した「優秀賞」を、今でも店頭に飾っています。
「こんな古い賞で恥ずかしい」と思っていたそうですが、お客様からは「ちゃんと認められているお店なんだ」と好評だといいます。
謙遜は美徳かもしれませんが、ビジネスの場面では、適切にアピールすることも必要です。
なぜこの方法が効くのか?─人間の心理を理解する
少し背景を補足させてください。
私たちが「第三者の声」や「受賞歴」に信頼を感じるのは、心理学でいう「社会的証明」という仕組みが働いているからです。
簡単に言うと、「他の人が認めているなら、きっと良いものだろう」という思考のショートカットです。
現代は情報があふれていて、すべてを自分で確かめることは不可能です。
だからこそ、私たちは「信頼できる誰かの判断」を参考にして、自分の決断を下しているのです。
これは怠慢ではなく、むしろ賢い生存戦略です。
そして、この心理をきちんと理解していれば、あなたのビジネスでも活用できます。
まとめ:今日からできる3つのこと
最後に、すぐに実践できることを3つお伝えします。
「推薦してくれそうな人」をリストアップする
長年のお付き合いがある取引先、信頼している同業者、熱心な常連のお客様など、あなたの商品やサービスを認めてくれている人を思い浮かべてください。
その方に「よろしければ、お客様の声としてご紹介させていただけませんか?」とお願いしてみましょう。
過去の受賞歴や資格を棚卸しする
どんな小さなものでも構いません。コンテストの入賞、業界資格、研修の修了証など、第三者から認められた証拠を集めてみてください。
集めた「証拠」を目に見える場所に置く
ホームページ、店頭、名刺、パンフレット—お客様の目に触れる場所に、さりげなく配置しましょう。
あなたの商品やサービスが素晴らしいものであることは、あなた自身が一番よく知っています。
でも、それを自分の口だけで伝えようとしても、なかなか届きません。
「誰かに言ってもらう」という視点を持つだけで、お客様からの信頼は大きく変わります。
ぜひ、今日から少しずつ取り組んでみてください。

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