利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

お客様の目に触れるもの、すべてが「お店からのメッセージ」になっている

お客様の目に触れるもの、すべてが「お店からのメッセージ」になっている

顧客に伝わるすべてのものを整える

はじめに ─ 気づかないうちに、いろんなことを伝えている

「うちは広告なんてほとんど出していないから、お客様へのメッセージは特にないよ」

もしそうお考えでしたら、少しだけ立ち止まって考えてみていただきたいことがあります。

実は、お客様があなたのお店や会社と接するすべての場面で、何かしらの「メッセージ」が伝わっています。
看板、外観、店内の雰囲気、スタッフの服装や話し方、名刺のデザイン、請求書の書き方、電話の応対……。
これらすべてが、言葉にはしていなくても、お客様に「このお店はこういうところなんだな」という印象を与えているのです。

これは、テレビCMを打っている大企業だけの話ではありません。
むしろ、従業員10名前後の中小企業や個人事業こそ、この視点を持つことで、お金をかけずにお客様からの信頼を高めることができます。

今回は、「お客様の目に触れるものすべてがメッセージになっている」という考え方について、わかりやすくお伝えしていきます。

お客様が見ているのは、広告だけではない

冒頭の会話にもあったように、「メッセージ」と聞くと、多くの方はテレビCMや新聞広告、チラシなどを思い浮かべます。
確かにこれらは「意図的に作ったメッセージ」の代表例です。

しかし、お客様の立場になって考えてみてください。

たとえば、初めて訪れる飲食店があったとします。
お店に入る前から、すでにいろいろなことを感じ取っているはずです。

・外観がきれいに掃除されているか
・看板は読みやすいか、古びていないか
・入り口のドアは開けやすそうか
・中の様子が少し見えるとしたら、どんな雰囲気か

店内に入れば、さらに多くの情報が目に飛び込んできます。

・テーブルや椅子の配置
・照明の明るさや色合い
・BGMの音量や曲調
・メニュー表のデザインや文字の大きさ
・スタッフの服装や表情、言葉遣い

これらすべてが、お客様の頭の中で「このお店はこういう場所なんだ」というイメージを作り上げていきます。

つまり、あなたが「伝えよう」と思っていなくても、お客様は勝手に受け取っているのです。

なぜ、すべてが「メッセージ」になるのか

人間は、言葉で説明されなくても、目に見えるものや体験したことから意味を読み取ろうとする生き物です。
これは本能的なものです。

たとえば、初対面の人と会ったとき、相手が何も話していなくても、服装や姿勢、表情などから「この人はどんな人だろう」と判断しますよね。
これは、お店や会社に対しても同じことが起きています。

高級そうな店構えを見れば「値段も高そうだな」と感じますし、入り口に手書きのポップがたくさん貼ってあれば「親しみやすいお店なんだな」と感じます。
これは誰に教わったわけでもなく、自然とそう感じてしまうものです。

ですから、「うちはそんなつもりで店を作ったわけじゃない」と思っていても、お客様はお客様なりの解釈をしてしまいます。

ここで大切なのは、「伝わってしまうなら、ちゃんと伝えたいことを伝えよう」と発想を切り替えることです。

具体的な事例 ─ ある町の工務店の話

ここで、ひとつの事例をご紹介します。

ある地方都市に、創業30年ほどの小さな工務店がありました。
社長と職人さん数名、事務員さん1名という、よくある規模の会社です。

この工務店は、腕の良い職人さんが揃っていて、仕事の質には自信がありました。
しかし、新規のお客様がなかなか増えず、いつも既存のお客様からの紹介頼みでした。

社長は「うちは広告なんて出す余裕がないし、ホームページも古いままだ。
でも、仕事の質で勝負しているから大丈夫」と考えていました。

ある日、知り合いの経営者から「お客さんは、工事を頼む前に必ず何かを見て判断しているよ。工事が始まってからじゃ、良い職人かどうかなんてわからないじゃない」と言われ、ハッとしました。

そこで、社長は自分の会社を「お客様の目線」で見直してみることにしました。

まず気づいたのは、会社の外観です。
事務所の入り口には古い看板がそのまま掛かっていて、駐車場には資材が雑然と置かれていました。
「職人の現場だから当たり前」と思っていましたが、初めて来るお客様からすると「ちょっと雑然としているな」という印象を与えていたかもしれません。

次に、職人さんたちの作業車を見てみました。
会社名は書いてあるものの、かなり汚れていて、文字も読みにくくなっていました。
この車が町中を走っているということは、毎日たくさんの人に「この工務店はこういう感じなんだ」と伝えているようなものです。

さらに、見積書や契約書のフォーマットも見直しました。
長年使っている手書きの書式で、社長にとっては使い慣れたものでしたが、お客様からすると「古い会社なのかな」「ちゃんとしているのかな」と不安に思う要素だったかもしれません。

社長は、大きなお金をかけずにできることから始めました。

・事務所の入り口を整理整頓し、小さな花を飾った
・作業車を洗車し、社名のステッカーを貼り直した
・見積書をパソコンで作成し、会社のロゴを入れた
・現場に行く職人さんに、お客様への挨拶の仕方を改めて共有した

すると、少しずつ変化が現れました。
初めて問い合わせをくださったお客様から「ホームページを見て、ちゃんとした会社だと思って電話しました」「作業車を見かけて、きれいにしているなと思って」という声が聞こえるようになったのです。

この工務店は、工事の腕を変えたわけではありません。
「お客様の目に触れるもの」を整えることで、もともとあった実力が正しく伝わるようになったのです。

「全部やらなきゃ」と思わなくて大丈夫

「全部メッセージだなんて、大変すぎる」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
製品、広告、店構え、スタッフ、名刺、ホームページ、電話応対……確かに、すべてを完璧にしようと思ったら、きりがありません。

でも、ここで大切なのは「完璧にする」ことではなく、「意識する」ことです。
まずは、お客様があなたの会社と接する場面を書き出してみてください。

・最初に目にするもの(看板、ホームページ、チラシなど)
・問い合わせをするとき(電話、メール、来店)
・サービスを受けるとき(店内、現場、商品そのもの)
・お金を払うとき(請求書、領収書、お釣りの渡し方)
・終わった後(お礼状、アフターフォロー)

こうして並べてみると、「ここは気をつけているけど、ここは盲点だったな」という部分が見つかるはずです。
すべてを一度に変える必要はありません。
気づいたところから、少しずつ整えていけば良いのです。

一貫性が信頼を生む

もうひとつ大切なことがあります。それは「一貫性」です。

たとえば、ホームページでは「丁寧で誠実な対応」をうたっているのに、電話に出たスタッフがそっけない対応だったら、お客様はどう感じるでしょうか。
「ホームページに書いてあることと違うな」とがっかりしてしまいますよね。

逆に、どの場面でも同じ印象を受けると、お客様は安心します。
「この会社は、言っていることとやっていることが一致しているな」と感じると、信頼が生まれます。

大企業は、この一貫性を保つために、ロゴの使い方や色の指定、接客マニュアルなどを細かく決めています。
中小企業や個人事業でそこまでする必要はありませんが、「うちの会社は、どんな印象を持ってもらいたいのか」という軸を持っておくことは大切です。

「誠実」「親しみやすい」「スピード感がある」「職人気質」など、自社の特徴を表すキーワードを2〜3つ決めておくと、判断の基準になります。
新しい名刺を作るとき、ホームページを更新するとき、スタッフに接客のことを伝えるとき、「うちらしいかどうか」を考えやすくなります。

まとめ ─ 伝わっているなら、伝えたいことを伝えよう

今回お伝えしたかったことをまとめます。

お客様は、あなたの会社と接するあらゆる場面で、何かを感じ取っています。
それは広告だけでなく、店構え、スタッフの様子、書類のデザイン、電話応対、作業車の見た目まで、すべてが「この会社はこういうところなんだ」というメッセージになっています。

これを「大変だ」と感じるのは自然なことです。
しかし、見方を変えれば「お金をかけなくても、工夫次第でお客様に良い印象を与えられる」ということでもあります。

まずは、お客様の目に触れるものを書き出してみる。
そして、「自社らしさ」を意識しながら、気づいたところから少しずつ整えていく。
これだけで、あなたの会社の印象は確実に良くなっていきます。

伝わってしまうなら、伝えたいことを、ちゃんと伝えていきましょう。

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