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中小企業のための問題解決の進め方:やみくもな行動を避ける「4つのステップ」

中小企業のための問題解決の進め方:やみくもな行動を避ける「4つのステップ」

問題解決の4ステップを解説

仕事やビジネスは、日々発生する「困ったこと(問題)」を見つけ、それを「どうにかする(解決)」の繰り返しです。

しかし、多くの場合、私たちは「困ったこと」が発生すると、すぐに「どうしたらいいか?(How)」や「原因は何か?(Why)」を慌てて考え始め、結果的に「やみくもな行動」に走りがちです。

例えば、ある地域密着型の老舗パン屋さんの売上が横ばい、特に「お昼時の売上が落ちている」という問題が起きたとします。

こんな時、いきなり「もっとチラシを入れよう」「新しいパンを作ろう」「値段を安くしよう」といった行動(How)を“思いつき”で決めていませんか?

「なぜ売上が落ちたのか?」を深く考える(Whを重ねる)ことも大切ですが、問題の全体像が見えないまま原因を考えると、「競合店のせいかも」「景気が悪いからかも」「流行のパンがないからかも」と可能性が多すぎて、どれに取り組むべきか収拾がつかなくなり、結局は「なんとなくこれかな」と当てずっぽうな行動になりがちです。

最短で解決に導く「4つのステップ」

優秀な経営者や成長する組織は、この「やみくもな行動」を避け、適切な「上流のプロセス」からアプローチします。

ここでは、「5W1H」を分解し、中小企業の皆さんがすぐに実践できる最強の問題解決プロセスを「4つのステップ」としてご紹介します。

大元の問いかけ(What):本当に戦うべき相手は誰か?

まず立ち止まって、「この問題は、そもそも解決すべき問題なのか?」という一番大元の問い(What)から考えることが重要です。

•パン屋さんの事例:

oこのパン屋さんが立地する地域では、実は近年、近隣のオフィスが移転したことで「お昼に街を歩くビジネスパーソン自体の数」が減っていることが分かりました。

oこれは「外的・構造的な問題」であり、このパン屋さん一軒の努力で「街全体の人の数を増やす」のは非常に難しいことです。

そこで、経営者は「来店者数を増やす」という目標に固執するのではなく、「他にもっと解決しやすい、筋の良い問題はないか?」と問いを再定義しました。

パンの購入データを詳しく見てみると、「お店には入ってくるけど、何も買わずに帰る人が目立って多い」ことに気づきました。

•問いの再定義(What): 「来店者数」を増やすことよりも、「来店した人の購入率(買ってくれる人の割合)」を高めることが、実はより効果的な解決策ではないか?

このように、解決する「テーマ」を正確に定めることが、最初の最も重要なステップです。

問題の場所を絞る(Where):痛いのは体のどこか?

次に、再定義した問題(購入率の低下)が「特にどこで、誰に対して、いつ起きているのか?」を特定します(Where)。

これは、漠然とした体調不良ではなく、「腹痛なのか」「頭痛なのか」を特定するのと同じです。

•パン屋さんの事例:

oレジのデータや店員の観察から、「購入率が落ちているのは、特に平日の午前中(10時〜12時)」「近所に住む高齢者の方」に顕著であることが判明しました。

oまた、彼らの多くが「買う予定はなかったが、ふらっと立ち寄った」様子で、店内のパンの種類が多すぎて迷っていることがわかりました。

このステップで、問題は「漠然とした購入率の低下」から、「平日の午前中に来店する高齢者の購入率が低い」という具体的なターゲットに絞り込まれました。

根本原因を突き止める(Why):なぜそこが痛むのか?

ターゲットが定まったら、ようやく「なぜそれが起こっているのか?」という根本原因を突き止めます(Why)。

•パン屋さんの事例:

o高齢者の方に話を聞くと、「パンの種類が多すぎて、どれが良いか迷ってしまう」「惣菜パンが、若い人向けで味が濃すぎる」「どれも焼き立てで温かいので、持ち帰りにくい」といった声が多く上がりました。

o根本原因(Why): 「来店客のターゲット層(高齢者)のニーズと、陳列・商品ラインナップが合っていない」こと。

最も効果的な策を実行する(How):どう治療するか?

原因が明確になったことで、やみくもにチラシを増やすのではなく、「高齢者のニーズに合わせた」最も効果的な解決策を実行に移すことができます(How)。

•パン屋さんの事例:

o原因に基づき、競合店に先駆けて、以下のような施策を打ちました。
 「迷わず選べる工夫」: 午前中限定で、高齢者向けの「昔ながらの優しい味のパン」だけを専用の陳列コーナーに集めて分かりやすく提示。
 「持ち帰りの工夫」: 惣菜パンの一部に、「冷めても美味しい」ことをアピールするポップをつけ、希望者には保冷剤のサービスを導入。

o結果として、全体的な来店者数は大きく変えられませんでしたが、高齢者の購入率が大幅に向上し、お昼時の売上を回復させることができたのです。

このように、「何を解決すべきか(What)」という上流のプロセスから段階を踏むことで、ムダな努力や経費を避け、成果につながる最短の道を見つけることができるのです。

パフォーマンスの高い人や組織は、必ずこの「思考の型」を実践しています。

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