利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

笑顔は最強の経営戦略―「笑い」が会社を強くする理由

笑顔は最強の経営戦略―「笑い」が会社を強くする理由

笑顔が経営と人生に与える影響

なぜ、笑顔が経営に関係するのか

「笑顔と経営なんて、関係あるの?」と思われた方もいるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。
あなたの職場に、最近、笑い声は聞こえていますか?

実は、笑顔というのは単なる「表情の話」ではありません。
心理学や医学の研究が積み重なる中で、笑顔には人の体と心、そして人間関係や運気までをも大きく動かす力があることが、少しずつ明らかになってきています。

ある言葉があります。

「笑顔を手放してしまうと、私たちの体と心―生きるための根っこともいえる健康―が、じわじわと蝕まれていきます。そして、人生の流れや巡り合わせもまた、知らぬ間に滞り、思うように開けなくなってしまうものです。ヨーロッパには古くからこんな言い伝えがあります。『明るい笑顔の絶えない場所には、幸運もまた自然と引き寄せられてくる』と。そもそも、地球上の無数の生き物の中で、人間だけがこうして心から笑えるのはなぜなのか―その問いを、私たちはもっと真剣に受け止める必要があるのではないでしょうか。」

これは、経営の場でも深く刺さる言葉です。

人間は地球上の生き物の中で、唯一「意味をもって笑う」ことができる存在だと言われています。
笑いは、コミュニケーションの道具であり、信頼を育む接着剤であり、逆境を乗り越える燃料でもある。
経営者がこの「笑い」の力を軽く見ると、じつは大切なものを失っていることに気づかないまま、じわじわと組織が弱っていくことがあるのです。

笑顔が失われると、何が起きるのか

笑顔のない職場は、思っている以上に早く、静かに傷んでいきます。

まず、経営者自身の健康への影響があります。
ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」は、長期間にわたってストレスを抱え続けると分泌が増え、免疫力の低下や睡眠の質の悪化、さらには判断力の鈍化を招くことがわかっています。
反対に、笑ったときに分泌される「エンドルフィン」や「セロトニン」は、体の痛みを和らげ、気分を前向きにし、免疫力を高める働きがあります。

笑顔は、文字どおり「命の資本」なのです。

次に、職場全体の雰囲気への影響があります。
経営者の表情や感情は、思っている以上に組織全体に伝染します。
心理学では「情動感染」と呼ばれる現象で、リーダーが暗い顔をしていると、スタッフも知らず知らずのうちに気持ちが沈み、発言が減り、行動が消極的になっていきます。

笑顔のない職場では、スタッフが「余計なことを言わないでおこう」と萎縮しがちです。
その結果、問題が早期に共有されず、小さなミスが大きなトラブルに育ってしまう。
笑顔の欠如は、経営リスクの隠蔽を生む土壌になりかねないのです。

笑顔が会社を変えた、ある事例

ここで一つ、印象的なエピソードをご紹介します。

ある地方の建設会社(従業員8名)の話です。
この会社の社長は、仕事の正確さと誠実さには定評があるものの、口数が少なく、職場では常に険しい顔をしていました。
「仕事は厳しくやるべきだ」という信念から、笑顔を見せることは「なれ合い」だと思っていたのです。

数年が経つうち、若手スタッフの離職が続きました。
面談すると「社長が怖い」「褒められたことがない」「何を考えているかわからない」という声が出てきました。
社長は驚きました。
自分はきちんとやっているのに、なぜそう受け取られるのか、と。

転機は、社長が参加したある研修でした。
そこで自分の動画を見た社長は、初めて気づいたのです。
「自分の顔、怖いな」と。

それから社長は意識的に変わろうとしました。
まず、朝の挨拶のときに笑顔を作ることを自分に課しました。
次に、スタッフの小さな成果に一言「助かったよ」と声をかけるようにしました。
最初はぎこちなかった笑顔も、3ヶ月が経つころには自然になってきました。

変化は、意外な形で現れました。
スタッフ同士の雑談が増え、ちょっとした問題を早めに報告してくれるようになったのです。
「社長に話しかけやすくなった」という声も出てきました。
その年の売上は前年比で15%増え、何より社長自身が「仕事が楽しくなった」と感じるようになったと言います。

笑顔一つで、職場の空気はここまで変わる。
そのことを教えてくれる話です。

「笑える環境」をつくるのも、経営者の仕事

笑顔は、単に「明るくしなさい」という精神論ではありません。
笑顔が生まれる環境をデザインすることが、経営者の大切な役割の一つです。

たとえば、こんなことから始めてみてください。
朝の挨拶を、経営者のほうから先にする。
これだけで、職場のトーンは変わります。
リーダーが先に挨拶することは、「あなたの存在を認めています」というメッセージになるからです。

次に、失敗を責める文化をやめてみる。
失敗したスタッフをその場で叱責すると、周りのスタッフは「自分も同じ目に遭いたくない」と萎縮します。
「なぜそうなったか」を一緒に考える姿勢が、心理的な安全感をつくり、笑顔の生まれやすい土台になります。

また、成果だけでなく「プロセス」を認める言葉をかけることも大切です。
「頑張ってくれてたね」「あの判断、よかったよ」という一言は、スタッフのモチベーションを大きく引き上げます。

まとめ―笑顔は、あなたの会社の「見えない資産」

「笑顔を大切にしましょう」と言うと、どこか精神論めいて聞こえるかもしれません。
でも、笑顔は経営における「見えない資産」です。

笑顔のある職場は、スタッフが定着しやすく、報告・連絡・相談が活発で、問題の早期発見ができる。
経営者自身の健康も守られ、判断力も保たれる。
お客様や取引先にとっても、笑顔のある会社は「また関わりたい」と思える存在になります。

ヨーロッパに古くから伝わる「明るい笑顔の絶えない場所には、幸運もまた自然と引き寄せられてくる」という言葉は、単なる美辞麗句ではありません。
人との縁が仕事をつくり、信頼が売上をつくるこの世界では、笑顔こそが最初の扉を開く鍵なのです。

地球上の無数の生き物の中で、人間だけが心から笑えるという事実は、笑顔が私たちにとっていかに本質的な能力であるかを示しています。
それを日々の経営の中で活かさない手はありません。

まず今日、職場で一つ笑顔を増やすことから始めてみてください。
小さな一歩が、会社全体を変えていく大きな力になるはずです。

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