利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「何を発信すればいいかわからない」を解決する—小さな会社のための発信の組み立て方

「何を発信すればいいかわからない」を解決する—小さな会社のための発信の組み立て方

「何を書けばいいかわからない」を卒業する—小さな会社の発信の作り方

発信しようとして、手が止まる理由

「発信が大切なのはわかった。
でも、いざ始めようとすると、何を書けばいいかわからなくて手が止まってしまう」

この悩みは、本当に多くの経営者の方から聞きます。

SNSのアカウントを作ったけれど、最初の一投稿でつまずいた。
ブログを書こうと思ってパソコンを開いたけれど、白い画面を前にしたまま時間が過ぎた。
「何か発信しなければ」というプレッシャーだけが積み重なって、結局何もできないまま今日に至る。

これは、意欲の問題でも、文章力の問題でもありません。
「仕組みがない」ことが原因です。

毎回ゼロから「今日は何を書こうか」と考えていては、続きません。
忙しい経営者が発信を続けるためには、「考えなくても書ける状態」を最初につくっておくことが必要です。

今回は、その「発信の組み立て方」を具体的にお伝えします。

まず知っておきたい「発信の目的」

組み立てに入る前に、一つ確認しておきたいことがあります。
それは、「発信の目的は何か」ということです。

答えは、前回までの話とつながります。
発信の目的は「売り込み」ではなく、「信頼を積み重ねること」です。

お客さんの立場で考えてみてください。
初めて知った会社から、いきなり「買ってください」「来てください」というメッセージが来たら、どう感じるでしょうか。
おそらく、距離を置きたくなるはずです。

一方で、「こんなことに気をつけると良いですよ」「今の季節はこういう点に注意が必要です」という役立つ情報を定期的に届けてくれる会社があったとしたら、どうでしょう。
自然と「信頼できる会社だな」という印象が育っていきます。

発信とは、お客さんとの間に「信頼の貯金」を少しずつ積み上げていく作業です。
すぐに結果が出るものではありませんが、続けることで確実に効いてきます。
この前提を持っておくだけで、発信への向き合い方が楽になります。

発信の「ネタ切れ」を防ぐ、3つのカテゴリー

では、何を発信すればいいのか。実は、発信のネタは大きく3つのカテゴリーに分けることができます。
この3つを順番に、あるいは組み合わせて使うだけで、「何を書けばいいかわからない」という悩みはほぼ解消されます。

カテゴリー① 「仕事の裏側」を見せる

お客さんが普段見ることのできない、仕事の過程や工夫を紹介するカテゴリーです。

「今日はこういう依頼があって、こんな工夫をしました」「この材料にこだわっている理由はこれです」「一般的にはこうするところを、うちではこうしています」—といった内容です。

これが効果的な理由は、前回お伝えした「自分の当たり前がお客さんの感動になる」という原理と同じです。
プロの目線で当たり前にやっていることが、一般の方には新鮮に映ります。

写真一枚でも構いません。
作業の途中経過、完成品ができるまでの工程、普段は見えない準備の様子—こういったものを「なぜそうするのか」という一言と一緒に伝えるだけで、立派な発信になります。

カテゴリー② 「お客さんの役に立つ知識」を届ける

自分のビジネスに関連する知識や情報の中で、お客さんが知っておくと得をすること、損をしなくて済むことを伝えるカテゴリーです。

税理士事務所であれば「この時期に確認しておくべき節税のポイント」、整体院であれば「デスクワークの人が陥りやすい姿勢の癖とその対処法」、食料品店であれば「旬の食材をおいしく食べる調理のコツ」—業種によって内容は様々ですが、共通しているのは「読んだ人が何か得をする」情報であることです。

このカテゴリーの発信は、直接的な宣伝にはなりません。
でも、「この会社の情報は役に立つ」という印象が積み重なることで、信頼の土台が育ちます。
長い目で見ると、これが最も強力な発信です。

カテゴリー③ 「人としての自分」を見せる

会社やサービスの情報だけでなく、経営者自身の考え方や日常の一コマを見せるカテゴリーです。

「今日、お客さんから嬉しい言葉をいただきました」「この仕事を始めたきっかけは、実は……」「長年大切にしているこだわりがあります」—こういった内容です。

人は、会社ではなく「人」を信頼します。
どんな想いでこの仕事をしているか、どんな価値観を持っているか—これが伝わることで、「この人から買いたい」「この人に頼みたい」という気持ちが生まれます。

特に小さな会社では、経営者自身の「人となり」が最大の差別化になることも少なくありません。
完璧に磨かれた言葉でなくていい。等身大の言葉で伝えることが、かえって親近感につながります。

事例:学習塾の先生が「問い合わせが自然に来る」ようになった理由

個人で運営する小さな学習塾の先生の話をご紹介します。

生徒数はそれほど多くなく、チラシを撒いても思ったような反応がなかなか得られない状態が続いていました。
そこで、試しに発信を始めることにしたのですが、最初は「塾のPRを書かなければ」と思い込んでいたため、「体験授業受付中」「定期テスト対策実施中」という告知ばかりを投稿していました。
反応はほとんどありませんでした。

そこで、発信の内容を切り替えました。

「今日、中学2年生の生徒が初めて数学の解き方を自分で説明できた瞬間の顔は、一生忘れられない」「子どもが勉強を嫌いになる原因の多くは、実は最初のつまずきを放置されたことにある」「テストの点数より、間違えた問題に自分で気づける力のほうが、長い目で見ると価値がある」—こういった、先生自身の教育観や、現場で感じていることを言葉にし始めたのです。

すると、少しずつ変化が起きました。
「考え方に共感した」「うちの子もそういう状態かもしれない」というコメントやメッセージが届くようになり、「一度話を聞いてみたい」という問い合わせが自然と来るようになったのです。

告知をやめて、想いを語るようにした。
それだけで、発信の効果がまったく変わりました。

無理なく続けるための「発信カレンダー」のつくり方

3つのカテゴリーが揃ったら、次は「いつ、何を発信するか」を大まかに決めておくことをおすすめします。

たとえば、週に3回発信するとしたら—

・月曜日:仕事の裏側(今週の仕事の様子や工夫を紹介)
・水曜日:役に立つ知識(業種に関連したお役立ち情報)
・金曜日:人としての自分(今週感じたことや、仕事への想い)

このようにパターンを決めておくと、「今日は何を書こう」という迷いがなくなります。
月曜日が来たら仕事の裏側を書く、それだけ考えれば良い。
決まった型があることで、続けやすくなります。

最初から完璧を目指す必要はありません。
週に一回でも、隔週でも構いません。
大切なのは、無理なく続けられるペースを見つけることです。

「上手に書かなければ」という呪いを解く

最後に、発信を始める前に多くの方が感じる「呪い」を解いておきたいと思います。

それは、「上手に書かなければならない」という思い込みです。

発信を続けている経営者の方に話を聞くと、ほぼ全員が最初はうまく書けなかったとおっしゃいます。
それでも続けた結果、自分らしい言葉が見つかっていった。

お客さんは、文章の上手さを評価しているわけではありません。
「この人は本気でこの仕事に向き合っているな」「この会社はお客さんのことを考えているな」—そういったことが伝わるかどうかを、感じ取っています。

一度や二度の発信で劇的な変化は起きません。
でも、半年、一年と続けた先に、必ず手応えを感じる瞬間が来ます。

まず一つ、書いてみてください。
「今日仕事をしていて気づいたこと」を一言でいい。
それが、あなたの発信のスタートラインです。

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