
中小企業向け「仕事の基準」作成ガイド
「やる気を出せ!」「意識を変えろ!」
そうすれば、社員は成長して、会社の成果も上がるはずだ。
多くの経営者の方がこう考えますが、実は、人の心を変えるのはとても難しいものです。
例えるなら、「美味しいカレーを作りたい!」と強く思うだけでは、料理の腕は上がりませんよね。
大切なのは、まずレシピ通りに作ってみることです。
何度も繰り返し作るうちに、「なるほど、スパイスを入れるタイミングはここがベストなのか」「玉ねぎはこう切ると甘みが出るんだな」といった発見があり、料理の腕前も、料理に対する考え方(意識)も自然と変わっていきます。
仕事もこれとまったく同じです。
意識を変えようとするのではなく、まず「やり方(行動)」を正しく導くこと。
それが、社員が成長し、会社が強くなるための、確実で一番の近道なのです。
あなたの会社、こんな「もったいない」状況になっていませんか?
小さな会社が抱えがちな悩みに、大きく2つあります。
- 「あの人しかできない仕事」がある(匠のワザが共有されていない)
- 新人がなかなか一人前に育たない(成長につながる行動が教えられていない)
この2つの悩みを一気に解決してくれる魔法の道具、それが「会社の公式レシピ」、つまりマニュアルなのです。
「いやいや、うちは何とかやれていますよ」
そうおっしゃる社長さんの会社でも、よくよくお話を聞いてみると…
- なぜか、いつも同じようなミスが繰り返される
- 同じ仕事なのに、AさんとBさんでやり方が全然違う
- ベテランは1時間で終わる仕事が、新人は半日かかっても終わらない
- 引き継ぎは口で伝えただけ。「ちゃんとやってくれるかな…」と夜も眠れない
といった問題が隠れています。
これらは、多くの小さな会社に共通する、静かに会社の体力を奪っていく「見えない病気」のようなものです。
もちろん、目の前の売上やお客様のこと、資金繰りなどで手一杯なのは、痛いほど分かります。
しかし、この「見えない病気」を後回しにし続けると、いつまでたっても根本的な問題は解決せず、忙しいばかりで利益が残らない…という状況から抜け出せなくなってしまいます。
「やり方がバラバラ」は、船が沈む穴を放置しているのと同じ
社員それぞれのやり方がバラバラな状態を放置すると、会社にとって、じわじわと悪い影響が広がっていきます。
- 非効率で、会社の利益が減ってしまう(みんなが自己流で遠回りしている状態)
- ミスやクレームが増えて、お客様の信用を失う
- せっかくの良いやり方が、会社に財産として残らない(ベテランが辞めたら、そのワザも消えてしまう)
- 新人が「何が正解か分からない」と混乱し、育つのが遅くなる
- サービスの質が安定せず、お客様をがっかりさせてしまう
これはまるで、船の漕ぎ手たちが、それぞれバラバラの方向にオールを漕いでいるようなものです。
一生懸命漕いでいるのに、船は前に進まず、その場でグルグル回るだけ。
それどころか、浸水する小さな穴(ムダやミス)がたくさん空いているのに、誰も気づかず放置しているような、非常に危険な状態なのです。
解決策はシンプル!「会社の最強レシピ」をつくろう
では、どうすればいいのでしょうか? 答えはとてもシンプルです。
社内で一番仕事ができて、成果を上げている人の「やり方」や「コツ」を、みんなのお手本にすれば良いのです。
その「最も上手くいくやり方」を、会社の正式なルールとして1つにまとめる。
この、会社の「宝」となるやり方を1つに絞り込み、みんなが使える形に整えることを「標準化」と呼びます。
そして、その「標準化」されたやり方を誰でも分かるようにまとめたものが、私たちが「マニュアル(=会社の最強レシピ)」と呼ぶものなのです。
この「最強レシピ」があれば、新人でもベテランと同じように美味しい料理(質の高い仕事)が作れるようになります。
会社全体の仕事のレベルが底上げされ、ムダがなくなり、お客様に喜ばれ、結果として会社の利益も増えていくのです。
さあ、あなたの会社だけの「最強レシピ」づくりを、今日から始めてみませんか?