売上UPのための言葉の力
中小企業の現場では、新しい商品やサービスを始めるとき、どうしても「何を売るか(商品そのもの)」に目が行きがちです。
しかし、売れるかどうかの分かれ目は、実は「その商品は、お客様にとって何なのか?」という言葉の定義にあります。
新しい商品やサービス、あるいは新規事業を立ち上げようとする時、最初は頭の中にぼんやりとした「イメージ」しかありません。
しかし、その正体が何なのかをズバリと言い当てる「言葉」がない限り、それはまだこの世に生まれていないのと同じです。
言葉になっていなければ、自分自身でも考えを深められませんし、従業員や仲間に「これを一緒にやろう!」と情熱を伝えることもできません。
だからこそ、モノを作る前に、まず「言葉」を作ることが最初の仕事になります。
言葉は、人を集める「旗印(はたじるし)」
この言葉は、戦国時代で言えば軍勢を集めるための「旗印」のようなものです。
どんなに良い商品でも、旗が立っていなければ、お客様はどこに行けばいいか分からず、従業員もどこへ向かって走ればいいのか迷ってしまいます。
例えば、コーヒーチェーンのスターバックスを思い出してください。
彼らは単に「美味しいコーヒー」を売っているわけではありません。
「家庭でも職場でもない、くつろげる『第三の場所(サードプレイス)』」という言葉(旗印)を掲げました。
・だからこそ、高単価でもお客様は長居をするために来店します。
・スタッフも、マニュアル通りの接客ではなく、「お客様がくつろげるにはどうすればいいか?」を自分で考えて動くことができます。
「コーヒー」ではなく「第三の場所」と定義した言葉の力が、世界的なブランドを作ったのです。
「捨てる」ことで際立つ個性
また、言葉を決めることは、「何をやらないか」を決めることでもあります。
10分カットで有名なQBハウスの事例を見てみましょう。
彼らのビジネスの原点は、理容業界の当たり前だった「シャンプー・顔剃り・マッサージ」という過剰なサービスへの疑問でした。
そこで掲げたコンセプトは「お手軽に、カットだけ」(ヘアカットの専門店)。
・この言葉があったからこそ、シャンプー台を置かないという画期的な店舗設計が生まれました。
・「時間はかけたくないけれど、身だしなみは整えたい」という忙しいビジネスマン層が、こぞって来店するようになりました。
「カットだけ」というシンプルで力強い言葉が、他店との違いを明確にし、新しい市場を切り開いたのです。

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