コンビニでアイデア力を鍛える
はじめに:なぜ今、「アイデア力」が必要なのか
中小企業や個人事業を経営されている皆さんにとって、日々の業務に追われながらも「新しいサービスを考えたい」「お客様に喜ばれる商品を生み出したい」と思う瞬間があるのではないでしょうか。
しかし、いざ「アイデアを出そう」と机に向かっても、なかなか良い発想が浮かばない。
そんな経験をお持ちの方も多いと思います。
実は、アイデアを生み出す力は、日々の小さな習慣で養うことができます。
そして、そのための素材集めに最適な場所が、私たちの身近にある「コンビニエンスストア」なのです。
コンビニは、いわば「発想のネタ帳」。
日常の中でアイデアの引き出しを増やしていける、とても便利な場所です。
背景:コンビニが「発想のネタ帳」になる理由
コンビニの売り場面積は、一般的なスーパーマーケットの10分の1以下です。
この限られた空間に並んでいる商品は、膨大な数の候補の中から「勝ち残った」ものばかり。
いわば、消費者のニーズという厳しい審査を通過した「選ばれし商品」だけが棚に並んでいるのです。
コンビニチェーンでは、毎週のように新商品が投入され、売れなければすぐに棚から消えていきます。
つまり、今そこに並んでいる商品には、必ず「買われる理由」が存在しているということです。
この「買われる理由」を観察し、書き留めていくことが、アイデアの引き出しを増やすことにつながります。
私たちが商売をする上で最も大切なのは、「お客様が何を求めているか」を理解することです。
しかし、自分の価値観だけで考えていると、どうしても発想の幅が狭くなってしまいます。
コンビニという小さな空間には、自分とは異なる価値観を持つ人々のニーズが凝縮されています。
それを観察し、想像することで、「他者の視点」というネタをストックしていけるのです。
方法①:「普段は買わないもの」をあえて買ってみる
発想のネタを増やす方法としておすすめしたいのが、週に一度くらいの頻度で「普段の自分なら絶対に買わないもの」をひとつ購入してみることです。
買ったものを実際に食べたり、使ったりしながら、次のような問いを自分に投げかけてみてください。
「この商品を買っているのは、どんな人だろう?」
「なぜ数ある商品の中で、これが選ばれて棚に残っているのだろう?」
「この人たちは、どんな場面でこれを手に取るのだろう?」
このように自問自答を繰り返すことで、自分の価値観の外にある「他者のニーズ」がネタ帳にどんどん蓄積されていきます。
事例①:200円超えの「高級おにぎり」から学ぶこと
たとえば、最近のコンビニには200円を超える「高級おにぎり」が並んでいます。
普段、100円台のおにぎりを選んでいる方にとっては、「なぜこんな高いおにぎりが売れるのだろう?」と不思議に思うかもしれません。
実際に買って食べてみると、確かに具材がたっぷり入っていて、海苔もパリッとしている。
でも、それだけで倍近い価格を払う人がいるのはなぜでしょうか。
ここで想像力を働かせてみます。
「もしかすると、お昼ご飯をコンビニで済ませることに、少し罪悪感を感じている人がいるのかもしれない。でも、ちょっと良いおにぎりを選ぶことで、『自分へのご褒美』という気持ちになれる」
「あるいは、取引先に向かう途中で軽く食べたいけれど、カップ麺やパンでは何となく気分が乗らない。そんなとき、少し贅沢なおにぎりなら、気持ちを上げられるのかもしれない」
このように考えていくと、高級おにぎりが売れている理由は、単なる「おいしさ」だけではなく、「自己肯定感」や「気分の切り替え」といった心理的な価値にあるのではないかという仮説が生まれてきます。
この視点は、皆さんのビジネスにも応用できます。
お客様が求めているのは、商品やサービスの機能だけではなく、それを通じて得られる「気持ち」かもしれない。
そう考えると、価格設定や商品の見せ方にも新しいヒントが見えてくるのではないでしょうか。
方法②:商品から「未来」を妄想してみる
もうひとつのネタの集め方は、コンビニの商品を見ながら「この先、どうなっていくだろう?」と未来を想像してみることです。
大切なのは、いきなりインターネットで調べるのではなく、まず自分が消費者として感じたことを起点にすること。
実際に商品を手に取り、使ってみた実感から、未来への想像を広げていくのです。
事例②:「冷凍食品」の進化から考える未来
たとえば、最近のコンビニ冷凍食品の充実ぶりには目を見張るものがあります。
本格的なパスタ、町中華風の炒飯、専門店顔負けのラーメン。
数年前と比べると、品質も種類も格段に向上しています。
実際に購入して食べてみると、「これが冷凍食品?」と驚くほどのクオリティ。
ここから未来を妄想してみましょう。
「一人暮らしの若い人だけでなく、共働きで忙しい家庭でも、夕食のおかずとして冷凍食品を使うことへの抵抗感が薄れてきているのかもしれない」
「そうなると、『手作り』の価値はどう変わっていくのだろう。もしかすると、『全部手作り』ではなく、『冷凍食品をうまくアレンジする』というスキルが求められるようになるのかも」
「冷凍食品がさらに進化したら、飲食店のあり方も変わるかもしれない。『家では食べられない体験』を提供することが、より重要になっていくのではないか」
「健康志向が高まる中で、冷凍食品にも『低糖質』『高タンパク』といった機能性が求められるようになるかもしれない。そうなると、どんな商品が主流になるのだろう」
このように、ひとつの商品から連想ゲームのように未来を想像していきます。正解があるわけではありませんが、こうした妄想を繰り返すことで、変化の兆しを捉えるネタが蓄積されていきます。
中小企業経営者にとっての意味
「そんな妄想をして、何の役に立つの?」と思われるかもしれません。
しかし、ビジネスの本質は「他者に価値を提供すること」です。
そのためには、自分とは異なる価値観を持つ人々のことを想像できなければなりません。
大企業であれば、マーケティング調査に多額の予算をかけることができます。
しかし、私たち中小企業には、そこまでの余裕がないことも多いでしょう。
だからこそ、日常の中で「発想のネタ」を少しずつ集めておくことが大切なのです。
コンビニでネタ集めを続けていると、お客様との会話の中で「この方は何を求めているのだろう」と考える習慣が自然と身についてきます。
新商品や新サービスを考えるときにも、蓄積したネタの中から「こういう人には、こんなニーズがあるのではないか」という発想が出やすくなります。

まとめ:明日からできる小さな習慣
アイデア力は、特別な才能ではありません。
日々の小さな習慣の積み重ねで、誰でも養うことができます。
まずは今週、コンビニに立ち寄ったときに、普段は手に取らない商品をひとつ買ってみてください。
そして、「誰がこれを買っているのだろう?」「なぜこれが選ばれているのだろう?」と、少しだけ想像してみてください。
その小さな習慣が、皆さんのビジネスに新しい視点をもたらしてくれるはずです。
身近なコンビニを「発想のネタ帳」として活用する。
お金も時間もかからない、でも確実にアイデアの引き出しが増えていく方法として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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