利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

なぜ今、「会社の想い」が選ばれる理由になるのか

なぜ今、「会社の想い」が選ばれる理由になるのか

小さな会社が大企業と競争する時代

価格やデザインだけでは決められない時代

少し前まで、私たちがモノを買うときの基準はシンプルでした。
「値段が安いか高いか」「デザインが好みかどうか」「機能が十分かどうか」。
この3つをチェックすれば、だいたいの買い物は決められたものです。

ところが最近、それだけでは説明できない購買行動が増えています。

たとえば、まったく同じ品質の商品が2つあったとします。
片方は大手メーカーの商品で、もう片方は地方の小さな工房が作ったもの。
価格は小さな工房のほうがやや高い。
それでも「こっちを買いたい」と思う人が増えているのです。

なぜでしょうか。

それは、私たちが「どこの、誰が作っているのか」「その商品に、どんな想いが込められているのか」という、売り手のストーリーや情熱までを確認し、買い物の判断材料にするようになったからです。

「共感消費」という新しい流れ

この現象は、マーケティングの世界では「共感消費」や「エシカル消費」と呼ばれています。
難しい言葉を使わずに言えば、「応援したいから買う」「この会社を支持したいから選ぶ」という消費のかたちです。

考えてみれば、私たちは日々の買い物を通じて「投票」をしているようなものです。
お金を払うという行為は、その会社やその商品に「あなたを応援します」と一票を投じることに似ています。

だからこそ、「この会社はどんな想いで仕事をしているのだろう」「何を大切にしているのだろう」という情報が、判断材料として重要になってきたのです。

インターネットが変えた「情報の力関係」

この変化を可能にしたのは、間違いなくインターネットです。

かつて、会社の情報を世の中に届けるには、テレビCMを打ったり、新聞や雑誌に広告を出したり、大きな看板を立てたりする必要がありました。
当然、莫大な費用がかかります。
資金力のある大企業だけが、自分たちのメッセージを広く届けることができたのです。

ところがインターネットの時代になって、この「情報の力関係」は大きく変わりました。

ホームページやブログ、SNSを使えば、従業員5人の会社も、従業員5万人の会社も、同じ土俵で情報を発信できます。
検索エンジンで表示される順位は、会社の規模で決まるわけではありません。
むしろ、本当に役立つ情報、心に響くメッセージを発信している会社のほうが、見つけてもらいやすいのです。

これは、中小企業や個人事業主にとって、まさに追い風です。

リアルの世界では、どうしても露出度で大手に敵いません。
商店街を歩いても、ショッピングモールに行っても、目に入るのは大手チェーンの看板ばかり。
でもインターネット上では、小さな会社も大きな会社と対等に、あるいはそれ以上に、自分たちの声を届けることができるのです。

「何のために、この仕事をしているのか」が問われる時代

このような時代において、ビジネスで大切になってくるもの。
それが「会社のミッション」や「事業の存在理由」です。

「誰の役に立ちたいのか」「どうやって社会に貢献したいのか」「何を成し遂げたいのか」

こうした想いを、わかりやすい言葉で、お客様の心にストンと落ちるような形で発信できている会社。
そういう会社が、やがて多くのファンに支持されるようになります。

なぜなら、人は「何を買うか」だけでなく「誰から買うか」を大切にするようになったからです。

事例:北海道の小さな家具工房

北海道の旭川市に、従業員10名ほどの小さな家具工房があります。

旭川は古くから木工業が盛んな地域ですが、安価な輸入家具に押され、多くの工房が厳しい状況に置かれてきました。
この工房も例外ではなく、一時期は廃業を考えたこともあったそうです。

転機になったのは、ある日、工房の三代目である社長がブログを始めたことでした。

「なぜ、木の家具を作り続けるのか」
社長はその問いに向き合い、自分の言葉で語り始めました。

木は生きていた素材であること。
だから、使い込むほどに味わいが出て、持ち主の暮らしになじんでいくこと。
修理をすれば何十年も使えて、やがて子どもや孫の世代に引き継げること。
「使い捨て」の反対にある価値観を、家具づくりを通じて届けたいこと。

最初は、ほとんど読まれませんでした。
でも、コツコツと発信を続けるうちに、少しずつ反応が増えていきました。

「ブログを読んで感動しました。ぜひ御社のテーブルが欲しいです」
そんな問い合わせが、まず東京から届きました。
続いて大阪、福岡、そして海外からも。

面白いのは、この工房の家具は決して安くないということです。
大手メーカーの家具と比べれば、2倍、3倍の価格がすることも珍しくありません。
それでも「ここで買いたい」と思う人が後を絶たないのです。

お客様に理由を聞くと、多くの方がこう答えるそうです。
「価格ではなく、想いに共感したから」

小さな会社だからこそ、伝わるものがある

この事例が教えてくれるのは、中小企業や個人事業主には、大企業にはない強みがあるということです。

大企業は、どうしても「最大公約数」を狙わなければなりません。
多くの人に受け入れられる商品、万人向けのメッセージ。
尖った個性は出しにくいのです。

一方、小さな会社には「顔」があります。
社長の人柄、職人のこだわり、創業時のエピソード。
そうした「物語」を、嘘偽りなく、等身大で発信できる。
これは大きな強みです。

もう一つ大切なのは、小さな会社の想いは「本物」として伝わりやすいということです。

世の中には、表面的なブランディングとして「想い」を語る会社もあります。
でも、消費者の目は年々厳しくなっています。
言葉だけの薄っぺらいメッセージは、すぐに見抜かれます。

その点、本当に想いを持って仕事をしている中小企業の言葉には、飾らない誠実さがあります。
等身大だからこそ、響くのです。

「情報発信」を始めるための3つのヒント

では、具体的に何から始めればいいのでしょうか。3つのヒントをお伝えします。

まず一つ目は、「なぜこの仕事をしているのか」を言葉にすることです。
売上のため、生活のため。
もちろんそれは大前提です。
でも、その先にある想いを探ってみてください。
「こういうお客様の役に立ちたい」「こういう社会にしたい」。
きっと何かあるはずです。

二つ目は、完璧を目指さないことです。
最初から立派な文章を書こうとすると、手が止まってしまいます。
まずは自分の言葉で、飾らずに書いてみる。
うまく書けなくても、誠実さは伝わります。

三つ目は、続けることです。
一度や二度の発信で劇的な変化は起きません。
でも、コツコツと続けていると、少しずつ「この会社、なんだか気になる」という人が増えていきます。

まとめ:選ばれる理由を、自分でつくる

インターネットの時代は、小さな会社にとって良い時代です。

資金力で大手に勝てなくても、想いの強さで選ばれることができます。
規模では敵わなくても、ストーリーで心をつかむことができます。

「この会社から買いたい」「この人を応援したい」

そう思ってもらえる会社になれるかどうか。
それは、日々の情報発信にかかっています。

皆さんの会社には、必ず語るべき物語があるはずです。
それを言葉にして、届けてみませんか。

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