商品サービスをパッケージ化する重要性
はじめに:「何を売っているかわからない」という落とし穴
「うちの仕事は、お客様ごとに違うから説明が難しいんです」
こんなお悩みを抱えている経営者の方は、意外と多いのではないでしょうか。
技術やノウハウには自信がある。
お客様からの評判も悪くない。
でも、新しいお客様がなかなか増えない。
紹介があっても、うまく成約につながらない。
その原因の一つに、「あなたが何を提供してくれるのか」が、お客様から見えにくくなっている可能性があります。
たとえるなら、メニューのないレストランのようなもの。
どんなに腕の良いシェフがいても、「何が食べられるのか」「いくらかかるのか」がわからなければ、お客様は安心して注文できませんよね。
今回は、「商品サービスのパッケージ化」という考え方についてお伝えします。
これは、あなたの価値を「目に見える形」にまとめることで、お客様に選ばれやすくなり、同時にあなた自身の働き方も楽になる方法です。
なぜ「パッケージ化」が必要なのか?
お客様は「わかりやすいもの」を選びたい
私たちが買い物をするとき、「これを買えば、こういう結果が得られる」ということが明確な商品は、安心して購入できます。
たとえば、家電量販店でテレビを買うとき。
サイズ、画質、価格がはっきり表示されていて、比較検討しやすいですよね。
でも、もし店員さんから「お客様のお部屋の状況をヒアリングして、最適なテレビをご提案します。
価格はご相談の上で…」と言われたら、ちょっと身構えてしまいませんか?
サービス業でも同じことが言えます。
「何を」「どのくらいの期間で」「いくらで」提供してもらえるのかがわからないと、お客様は問い合わせすることすら躊躇してしまうのです。
「都度カスタマイズ」の罠
パッケージ化されていないサービスは、お客様にとってわかりにくいだけでなく、提供する側にも大きな負担がかかります。
お問い合わせがあるたびに、ゼロからヒアリングして、ゼロから見積もりを作って、ゼロから提案書を書いて…。
これでは、いくら時間があっても足りません。
ある調査によると、中小企業の経営者が「営業活動」に費やす時間のうち、見積もり作成や提案準備に30〜40%もの時間を取られているというデータがあります。しかも、そのすべてが成約につながるわけではありません。
「忙しいのに儲からない」という状態に陥っている方は、この「都度カスタマイズ地獄」にはまっている可能性があります。
パッケージ化とは、具体的に何をすることか?
パッケージ化とは、あなたのサービスを「標準的なメニュー」として整理することです。
具体的には、次の要素を明確にしていきます。
①何を提供するのか(内容)
②どのような順番で進めるのか(プロセス)
③どのくらいの期間・回数か(期間)
④どこで提供するのか(場所・方法)
⑤いくらなのか(価格)
これらを「セットメニュー」のようにまとめておくことで、お客様は「自分に合うかどうか」を判断しやすくなりますし、あなたも説明や見積もり作成の手間が大幅に減ります。
事例で見る「パッケージ化」の効果
事例①:リフォーム会社のケース
ある地方のリフォーム会社では、以前は「お客様のご要望をお聞きして、オーダーメイドでご提案します」というスタイルでした。
お客様一人ひとりに丁寧に対応していたのですが、見積もり作成に毎回2〜3日かかり、成約率も低い状態が続いていました。
何より、お客様から「結局いくらかかるのかわからない」という声が多かったのです。
そこで、よくある依頼内容を分析し、以下のようなパッケージ商品を作りました。
・「水まわり3点セットリフォーム」(キッチン・浴室・トイレ):○○万円〜
・「和室→洋室まるごと変身プラン」:○○万円〜
・「玄関まわりスッキリパック」:○○万円〜
もちろん、細かいオプションや追加工事は発生しますが、「基本の形」があることで、お客様は「だいたいこのくらいの予算感か」とイメージしやすくなりました。
結果として、問い合わせからの成約率が上がり、見積もり作成の時間も大幅に短縮。社長自身が現場に出る時間も確保できるようになったそうです。
事例②:社会保険労務士事務所のケース
ある社労士事務所では、「顧問契約」というサービスはあったものの、内容があいまいで、お客様ごとに提供する内容がバラバラになっていました。
「何をどこまでやってくれるのか」がわかりにくく、新規のお客様から「他の事務所と何が違うの?」と聞かれても、うまく説明できない状態だったのです。
そこで、顧問契約を3つのプランに整理しました。
・ライトプラン:給与計算+社会保険手続き代行
・スタンダードプラン:ライト+就業規則整備+相談対応(月2回まで)
・プレミアムプラン:スタンダード+助成金申請サポート+相談対応(無制限)
価格もそれぞれ明示することで、お客様は「うちはスタンダードプランでいいかな」「将来的にはプレミアムに上げたい」といった形で、自分で選べるようになりました。
事務所側も、「このプランなら、この範囲の対応」と明確になったことで、「これもやってほしい、あれもやってほしい」という際限のない要望に振り回されることが減り、本来の仕事に集中できるようになったそうです。
「うちは標準化できない」と思っている方へ
ここまで読んで、「いや、うちの仕事はお客様ごとに全然違うから、標準化は無理だよ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
特に、コンサルティングや専門サービスを提供されている方は、そう思われることが多いです。
たしかに、100%完全に同じサービスを全員に提供することは難しいでしょう。
お客様の状況はそれぞれ違いますし、個別対応こそが価値になる場面もあります。
でも、「すべてを標準化する」必要はないのです。
大切なのは、「標準化できる部分」と「個別対応が必要な部分」を分けて考えることです。
たとえば、コンサルティングであれば、
・標準化できる部分:最初のヒアリング項目、基本的な分析フレームワーク、報告書のフォーマット、進め方の大枠
・個別対応の部分:具体的な課題解決策、業界特有の事情への対応、お客様との細かいコミュニケーション
このように整理すると、「進め方の骨格」は共通化しつつ、「中身」は柔軟に対応する、ということが可能になります。
料理に例えるなら、「コース料理の流れ」は決まっているけれど、「食材やアレンジ」はお客様に合わせる、というイメージです。
パッケージ化を進めるための3つのステップ
では、実際にどのようにパッケージ化を進めればよいのでしょうか。3つのステップでご紹介します。
ステップ①:過去の仕事を振り返る
まずは、これまで提供してきたサービスを振り返ってみましょう。
「よくある依頼パターン」「成果が出やすかったケース」を洗い出します。
10件、20件と見ていくと、「だいたいこういう流れで進むことが多いな」という共通点が見えてくるはずです。
ステップ②:基本の「型」を作る
共通点が見えてきたら、それを「基本の型」としてまとめます。
サービスの内容、進め方、期間、価格を整理して、仮のパッケージを作ってみましょう。
最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは「たたき台」を作ることが大切です。
ステップ③:実際に使いながら改善する
作ったパッケージを、実際のお客様への提案で使ってみましょう。
「この説明はわかりにくかった」「この部分は追加したほうがいい」といった気づきが出てきますので、それを反映して改善していきます。
パッケージは「一度作ったら終わり」ではなく、育てていくものです。

まとめ:「見える化」があなたの価値を届けやすくする
今回のポイントをまとめます。
・お客様は「何を、いくらで、どう提供してもらえるか」がわかるサービスを選びやすい
・パッケージ化されていないと、毎回の見積もり・提案に時間を取られ、疲弊してしまう
・すべてを標準化する必要はなく、「標準化できる部分」と「個別対応の部分」を分けて考える
・過去の仕事を振り返り、共通パターンを「型」にまとめることから始めてみる
あなたの持っている技術や知識、経験は、とても価値のあるものです。
でも、その価値が「見える形」になっていなければ、届けたい人に届きません。
パッケージ化は、あなたの価値を「伝わりやすい形」に整えることです。
ぜひ、できるところから取り組んでみてください。

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