利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「強いチーム」には共通点があった─科学が教える5つのコミュニケーションの法則

「強いチーム」には共通点があった─科学が教える5つのコミュニケーションの法則

チームのパフォーマンスを高める5つの要素

はじめに:なぜ同じ人数でも「うまくいくチーム」と「そうでないチーム」があるのか

「うちのチームは、なんだかまとまりがない」
「会議をしても、結局いつも同じ人ばかりが話している」
「スタッフ同士の連携がうまくいかない」
こんなお悩みを感じたことはありませんか?

実は、チームがうまく機能するかどうかには、「才能のある人がいるかどうか」や「リーダーが優秀かどうか」以上に、大切なポイントがあることが分かってきました。

それは、「チームの中で、どんなふうにコミュニケーションが取られているか」 です。

アメリカの有名な大学(MIT)の研究者であるアレックス・ペントランドさんは、様々な職場のチームを科学的に調査しました。
メンバーが誰と話しているか、どのくらいの時間話しているか、どんな話し方をしているかを、特殊な機器を使って細かく計測したのです。

その結果、成果を出すチームには、業種や仕事内容に関係なく、5つの共通するコミュニケーションの特徴があることが明らかになりました。

今回は、この研究をもとに、中小企業や個人事業の現場でも実践できるヒントをお伝えします。

強いチームに共通する「5つの特徴」

特徴① 全員が発言し、話す量がほぼ同じ。一人ひとりの発言は短め

成果を出すチームでは、特定の人だけがずっと話しているのではなく、メンバー全員がまんべんなく発言しています。
しかも、一人が長々と話すのではなく、一回の発言は短めです。

これは、野球のキャッチボールに似ています。
一人がボールをずっと持っていたら、キャッチボールは成り立ちません。
短くパスを回し合うことで、全員が「参加している」という感覚を持てます。

会議で「何か意見ある人?」と聞いても、いつも同じ人しか手を挙げないということはありませんか?
これは、チームの力を十分に引き出せていないサインかもしれません。

特徴② 目を見て話し、エネルギーが感じられるやり取りをしている

うまくいっているチームでは、メンバー同士がお互いの目を見て話し、話し方にも熱意やエネルギーが感じられます。

逆に、パソコンの画面を見ながら生返事をしたり、スマートフォンを触りながら聞いていたりすると、話している側は「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じます。
これが積み重なると、「どうせ言っても聞いてもらえない」という空気が生まれてしまいます。

お客様に接するときは、しっかり目を見て話しますよね。チームの中でも同じことが大切なのです。

特徴③ リーダーだけでなく、メンバー同士が直接やり取りする

成果を出すチームでは、すべての情報が社長やリーダーを経由するのではなく、メンバー同士が直接コミュニケーションを取り合っています。

これは、道路のネットワークに例えると分かりやすいかもしれません。
すべての道が東京を経由しないと行き来できないとしたら、東京は大渋滞になりますし、移動にも時間がかかります。
地方同士を直接つなぐ道路があれば、スムーズに流れます。

「何かあったら、まず社長に報告」というルールは大切ですが、日常の細かいやり取りまで全部社長を通さないといけない状態だと、スピードが落ち、社長もパンクしてしまいます。

特徴④ 仕事以外の雑談もある

意外に思われるかもしれませんが、成果を出すチームでは、仕事の話だけでなく、ちょっとした雑談もあります。

「昨日のテレビ見た?」「お子さんの運動会どうだった?」といった何気ない会話が、実はチームの土台を作っています。

雑談を通じて、相手の人柄や考え方、今の状態(元気そうか、疲れていそうか)が分かります。
すると、仕事の場面でも「この人にはこう伝えたほうがいいな」「今日は忙しそうだから、後で声をかけよう」といった配慮ができるようになります。

いわば、雑談は「心の潤滑油」のような役割を果たしているのです。

特徴⑤ 外の世界から新しい情報を持ち帰る

最後の特徴は、メンバーが定期的にチームの外に出て、新しい情報を持ち帰ってくることです。

同じメンバーで、同じ場所で、同じ仕事を続けていると、どうしても視野が狭くなります。
「うちのやり方が当たり前」と思い込んでしまい、もっと良い方法があることに気づけなくなります。

セミナーに参加したり、同業者の集まりに顔を出したり、異業種の人と話したりすることで、「こんなやり方もあるんだ」という発見が生まれます。
それをチームに持ち帰って共有することで、チーム全体がアップデートされていきます。

実際の事例:地方の小さな工務店が変わった話

ここで、ひとつの事例をご紹介します。

ある地方都市に、従業員8名の工務店がありました。
社長のAさんは、「うちはベテランの職人が多いから技術は確かなのに、なぜか最近、お客様からのクレームが増えている」と悩んでいました。

原因を探ってみると、現場での情報共有がうまくいっていないことが分かりました。

たとえば、お客様から「棚の高さを少し変えてほしい」という要望があったとき、それを聞いた職人Bさんは「分かりました」と返事をしましたが、別の日に現場に入った職人Cさんには伝わっていませんでした。
結果、Cさんは元の図面通りに作業を進めてしまい、やり直しが発生したのです。

また、週に一度の朝礼では、いつも社長のAさんが一方的に連絡事項を伝えるだけで、職人さんたちは黙って聞いているだけでした。
何か意見を求めても「特にありません」という返事ばかり。
社長のAさんは、「みんな、本当に分かっているのだろうか」と不安に感じていました。

そこでAさんは、いくつかのことを試してみました。

朝礼を「報告会」から「共有の場」に変えた

まず、朝礼のやり方を変えました。社長が一方的に話すのではなく、各現場の担当者が「昨日の進捗」と「今日気をつけること」を一人ずつ短く報告するスタイルにしたのです。

最初は「特にありません」という返事が多かったのですが、社長のAさんが「些細なことでもいいから、何か一言」と促し続けました。
すると、少しずつ「昨日、お客様からこんなことを言われた」「この材料、ちょっと使いにくい」といった発言が出てくるようになりました。

現場から戻ったら「雑談タイム」を設けた

次に、夕方に事務所に戻ってきたとき、すぐに解散するのではなく、10分ほどお茶を飲みながら雑談する時間を作りました。

「今日の現場、どうだった?」という話から始まり、「お客様のお子さんが受験なんだって」「あの地域は道が狭くて車を停めにくい」など、いろいろな情報が自然と共有されるようになりました。

月に一度、外部の勉強会に参加する

さらに、Aさんは地域の工務店の勉強会に参加するようになり、学んだことを朝礼で共有しました。
すると、ベテランの職人さんから「それ、うちでもやってみたい」という声が上がることもありました。

半年ほど経つと、クレームの件数は明らかに減りました。
それだけでなく、お客様から「職人さんたちの連携がいいですね」と褒められることも増えたそうです。

まとめ:「話し方」を変えるだけで、チームは変わる

今回ご紹介した5つの特徴を、もう一度整理してみましょう。

1つ目は、全員が発言するということです。一部の人だけでなく、みんなが短く話すことで、チーム全体が動き出します。
2つ目は、目を見て、エネルギーを込めて話すことです。「ちゃんと聞いている」という姿勢が相手に伝わると、発言しやすい空気が生まれます。
3つ目は、メンバー同士で直接やり取りすることです。リーダーを経由しなくても連携できる状態が、チームのスピードを上げます。
4つ目は、雑談があることです。仕事以外の話が、実は信頼関係を育てる土台になっています。
5つ目は、外の情報を持ち帰ることです。チームが閉じこもらず、常にアップデートされる仕組みがあると、新しいアイデアが生まれやすくなります。

大切なのは、これらは特別な才能やお金がなくても、今日から始められるということです。

「会議で、一人ずつ順番に発言してもらう」
「話を聞くときは、手を止めて相手を見る」
「社長を通さなくても、スタッフ同士で相談していいことを伝える」
「休憩時間に、少し雑談する余裕を作る」
「たまには外のセミナーや勉強会に顔を出してみる」

こうした小さな工夫の積み重ねが、チームの雰囲気を変え、やがて成果にもつながっていきます。

もし今、「うちのチーム、なんだかうまく回っていないな」と感じているなら、まずは一つだけ試してみてはいかがでしょうか。
コミュニケーションの「流れ」が変われば、チームの力は自然と引き出されていくはずです。

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