利益も、チームも、整える。  浜松市の税理士 小林徹が、次の一手まで一緒に考えます。

「お店の外」で勝負する ─ お客様があなたを思い出す仕組みづくり

「お店の外」で勝負する ─ お客様があなたを思い出す仕組みづくり

顧客を呼び込む店外活動の重要性

はじめに ─ なぜ「良い商品」だけでは売れないのか

「うちの商品は、どこにも負けない自信がある」
「サービスの質には、ずっとこだわってきた」

こうおっしゃる経営者の方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
そして、それは決して間違いではありません。
良い商品、良いサービスがあることは、商売の大前提です。

ところが、です。

良い商品を持っているのに、なぜかお客様が増えない。
腕には自信があるのに、リピーターがなかなか定着しない。
そんなお悩みを抱えていらっしゃる方も、同じくらい多いのではないでしょうか。

実は、ここには多くの経営者が見落としがちな、ある「盲点」が隠れています。

今回は、その盲点を明らかにしながら、お客様に「また来たい」と思っていただくための考え方をお伝えしたいと思います。

大型量販店に負けなかった「町の電気屋さん」の話

ある地方都市で、小さな電気店を営むAさんの話をご紹介します。

Aさんのお店は、従業員3名の家族経営。近くには大型の家電量販店があり、価格では到底太刀打ちできません。
品揃えだって、比べものにならないほどの差があります。

普通に考えれば、とっくに廃業していてもおかしくない状況です。

ところがAさんのお店は、開業から40年以上、地域のお客様に愛され続けています。
しかも、お客様の多くが「量販店のほうが安いのはわかっているけど、やっぱりAさんのところで買いたい」とおっしゃるのです。

なぜでしょうか。

Aさんは、こう語ってくださいました。
「うちみたいな小さな店が、お店の中で待っていたって誰も来やしません。だから私は、お店の外で勝負することにしたんです。お客様のお宅に関しては、年に2回は必ず顔を出す。別に売り込みに行くわけじゃありません。『エアコンの調子はどうですか』『何かお困りのことはありませんか』と様子を伺いに行くだけ。電球1個の交換でも、すぐに駆けつける。お店にいない時間にこそ、お客様との関係を作ってきたんです」

この話を聞いて、私は商売の本質を見た気がしました。

お客様の「99%の時間」に目を向ける

Aさんの話には、商売の本質をつく大切な視点が含まれています。

それは、お客様は1年のうち99%以上の時間を「あなたのお店以外の場所」で過ごしているという事実です。

たとえば、月に1回来店してくださるお客様がいたとしましょう。
滞在時間が2時間だとすると、1年間でお店にいる時間は合計24時間。
1年は8,760時間ありますから、お客様があなたのお店で過ごす時間は、わずか0.3%にも満たないのです。

つまり、残りの99.7%の時間、お客様は別の場所で生活し、別のことを考えています。

多くのお店は、お客様が来店されたときに最高の商品と最高のサービスを提供することに全力を注ぎます。
もちろん、それは大切なことです。

しかし、考えてみてください。

お客様が「あなたのお店のことを思い出す」のは、お店にいるときだけではありません。
むしろ、お店にいない99%の時間に、ふとあなたのお店を思い出してもらえるかどうか。
ここが勝負の分かれ目なのです。

「待つ経営」から「届ける経営」へ

世の中には、素晴らしい商品を扱い、おしゃれな雰囲気のお店が星の数ほど存在します。

ところが、お客様に積極的に働きかけ、「お店に来ていただくための活動」をしているお店は、全体の3%にも満たないと言われています。

言い換えれば、97%以上のお店が「待ちの姿勢」で商売をしているということです。

良い商品を並べて、きれいなお店を構えて、あとはお客様が来てくださるのを待つ。
これを「待つ経営」と呼ぶとすれば、町の電気屋さんのAさんがやっていたのは「届ける経営」です。

お客様がお店にいない時間に、こちらから手を伸ばして、存在を思い出していただく。
「届ける経営」に切り替えるだけで、他の97%のお店と差をつけることができるのです。

事例:地方の小さな整体院が予約でいっぱいになった理由

ここで、もうひとつの事例をご紹介しましょう。
ある地方都市で整体院を営むBさんの話です。

Bさんは開業して3年目。
腕には自信がありましたが、新規のお客様がなかなか定着せず、売上は伸び悩んでいました。

「一度来てくださったお客様には満足していただけているはずなのに、なぜリピートしてもらえないのだろう」

悩んだBさんは、あることに気づきました。

施術が終わってお客様をお見送りした後、次にお会いするまで、自分からは何も働きかけていなかったのです。

そこでBさんは、シンプルな取り組みを始めました。

まず、施術後3日目に「その後、お体の調子はいかがですか?」という短いメッセージを送るようにしました。
内容は売り込みではなく、純粋にお客様の体調を気遣う一言だけです。

次に、月に1回、手書きの「健康だより」を郵送することにしました。
季節ごとの体の不調と、自宅でできる簡単なストレッチを紹介する、A4用紙1枚のささやかなお便りです。

さらに、お客様の誕生月には、ちょっとしたプレゼント(ハンドクリームや入浴剤など)を添えたバースデーカードを送りました。

これらの取り組みを始めてから半年後、Bさんの整体院は予約でいっぱいになりました。

ポイントは、お客様が整体院にいない時間に、Bさんの存在を思い出してもらう仕組みを作ったことです。

体のどこかが痛くなったとき、ふと「そういえば、あの整体院からお便りが届いていたな」と思い出す。
これが、再来店につながったのです。

今日からできる「届ける経営」の第一歩

では、具体的にどんなことから始めればよいのでしょうか。

大がかりな仕組みは必要ありません。
まずは、以下のような小さな一歩から始めてみてください。

お礼の連絡を入れる

ご来店やお取引の後、1〜3日以内に「ありがとうございました」の一言を伝えましょう。
電話でもメールでも、LINEでも構いません。
売り込みではなく、純粋な感謝の気持ちを届けることが大切です。

定期的に「役立つ情報」を届ける

月に1回でも構いません。お客様の役に立つ情報を届けましょう。
整体院なら健康情報、飲食店なら季節のおすすめ食材、工務店なら住まいのメンテナンス情報など。
「売り込み」ではなく「お役立ち」を届けることがポイントです。

特別な日を覚えておく

お客様の誕生日や、初めてご来店いただいた記念日など、特別な日にメッセージを送りましょう。
「覚えていてくれた」という喜びは、何よりも心に残るものです。

まとめ ─ お店の「外」にこそ、チャンスがある

最後に、今回のお話をまとめます。

お客様は、1年のうち99%以上の時間を「あなたのお店以外」で過ごしています。
お店の中で最高の商品やサービスを提供することは大前提ですが、それだけでは不十分です。

大切なのは、お客様がお店にいない時間に、あなたのことを思い出していただく仕組みを作ることです。

町の電気屋さんのAさんも、整体院のBさんも、やっていることの本質は同じでした。
お店の「外」で、お客様との関係を育てていたのです。

世の中の97%以上のお店は、まだこのことに気づいていません。
だからこそ、今日から「届ける経営」を始めれば、それだけで大きな差をつけることができます。

お店の中で「待つ」のではなく、お店の外から「届ける」。

ぜひ、この視点を取り入れてみてください。
きっと、お客様との関係が変わり始めるはずです。

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