
お店の選ばれ方
もし、すでにおいしくて人気のパン屋さんがある町で、あなたが新しくパン屋さんを開くとしたら、どうしますか?
多くのお客様は、一番近くにある、あるいは一番有名なお店を選びがちです。
その中で、わざわざあなたのお店を選んでもらうためには、「うちのお店は、他とはここが違いますよ!」という分かりやすい「旗印」が必要になります。
どんな旗印を立てるか、最初にしっかり考えることがとても大切です。
例えば、「高級な材料だけを使った最高級食パン専門店」にするのか、それとも「朝早くから開いていて、出勤前に焼き立てが買えるお店」にするのか、などですね。
「誰のためのお店か」を絞り込む勇気
例えば、「アレルギーを持つお子さんでも、安心して食べられるパン」というのはどうでしょう。
これは、町に同じようなパン屋さんがいない場合に、とても強力な旗印になります。
この旗印を立てることで、「パンは好きだけど、アレルギーが心配で…」と悩んでいるお母さんたちの頭の中に、あなたのお店がパッと浮かぶようになります。
もちろん、お店の名前は「小林ベーカリー」のようなシンプルなものでも構いません。
ですが、それだけでは「アレルギー対応」という一番の魅力が伝わりませんよね。
もちろん、時間をかけて美味しいパンを作り続け、お客様の口コミで「あそこはアレルギーの子でも食べられるパンがあるらしいよ」と評判が広がっていくのが理想です。
しかし、お店を始めたばかりの頃は、もっと早く、分かりやすく魅力を伝える工夫が必要です。
お店の「見た目」で旗印を伝える
そこで、お店の看板やロゴマーク、お店全体の雰囲気を、あなたの「旗印」に合わせてみてはどうでしょうか。
例えば、お米の稲穂をモチーフにした可愛らしいマークを「小林ベーカリー」の店名に添える。
店内を木のぬくもりが感じられるような、安心感のある空間にする。そうすれば、言葉で説明しなくても、お店の優しさやこだわりがお客様に伝わります。
さらに一歩進んで、「旗印」そのものを名前にしてしまうのも良い方法です。
先ほどの例で言えば、「にこにこ米粉パン工房」という名前のお店が町にできたら、アレルギーで悩んでいたお母さんは「うちの子のためにあるようなお店だわ!」と、すぐに見つけてくれるでしょう。
戦う場所(ライバル)を見極める大切さ
そして、この「旗印」は、あなたのお店がどこにあるのか、周りにどんなライバル店がいるのかを考えて立てることが非常に重要です。
パン屋さんを始める前に、まずは町の地図を広げて、どんなパン屋さんがどこにあるのかを調べてみましょう。
もし、あなたが立てようとしている「旗印」とそっくりなパン屋さんがすぐ近くにあったら、どうなるでしょうか?
せっかくのあなたの魅力が埋もれてしまい、お客様に見つけてもらうのがとても難しくなってしまいます。
自分のお店の魅力に、しっかりとスポットライトが当たる場所を見つける必要があるのです。
このように、あなたのお店の「旗印(コンセプト)」と、それを伝えるための「名前」や「見た目」、そして「場所」は、すべてが繋がっています。
これらをバラバラに考えるのではなく、一貫したストーリーとして考えることで、あなたのお店は初めてお客様の心に届き、選ばれる存在になるのです。