
課題再設定でアイデアを生む
あるハンバーガー屋さんが、「うちの商品は不健康だ」という世間のイメージに頭を悩ませていました。
「なんとかして、うちの商品が健康的だと伝えられないか…」
そう考えて、一生懸命アピールしようとしましたが、どうにもうまくいきません。
それは、お客様が感じているイメージから少しズレた、無理のある説明だったからです。
本当に向き合うべきは、「『不健康』というイメージをどう乗り越えるか」という課題そのものです。
決して、「うちは健康的です」と無理に言い張ることではありませんでした。
ここで、少し視点を変えてみましょう。
お客様は、ハンバーガーを食べる時に「健康のため」と思ってお店に来ているでしょうか?おそらく、多くの方は違うはずです。
それならば、「健康的かどうか」という土俵で戦うのをやめてみるのです。
代わりに、自分たちが自信を持って提供できる、別の土俵で勝負するのです。
例えば、「楽しいかどうか」という土俵です。
- 手づかみで大きな口を開けて頬張る、あのワクワク感。
- ポテトを少しこぼしてしまっても、笑って許されるような気軽な雰囲気。
- 晴れた日に公園で食べると、最高においしい、あの特別な時間。
これらは、高級レストランでは決して味わえない、ハンバーガー屋さんだからこそ提供できる「楽しさ」という特別な価値ではないでしょうか。
「こんなに楽しい食事は、他にはない!」
お客様にそう感じてもらえたら、素晴らしいですよね。
ここから、私たち中小企業の経営者が学べる大切なヒントがあります。
それは、「与えられた課題を、そのまま鵜呑みにしない」ということです。
お客様から「値段が高い」と言われた時、すぐに値下げを考えるのではなく、「なぜお客様は高いと感じるのだろう?価格に見合う価値が伝わっていないだけではないか?」と一度立ち止まってみる。
私たちは忙しい毎日の中で、つい目の前の問題にすぐ飛びついてしまいがちです。
しかし、「お客様が本当に求めていることは何だろう?」「この問題の根本的な原因はどこにあるのだろう?」と問い直すことこそが、他社には真似できない、素晴らしいアイデアを生み出す一番の近道なのです。