顧客との関係を深める「続ける」情報発信の力
はじめに—あなたの情報発信、止まっていませんか?
「ブログを始めたけど、気づいたら半年以上更新していない」
「SNSのアカウントは作ったのに、最後の投稿が1年前だった」
「毎月送ろうと思っていたメールが、気づけば年に1、2回になってしまった」
こんな経験、ありませんか?
実は、これは特別なことではありません。多くの経営者の方が、同じ壁にぶつかっています。
情報発信をやめてしまった理由を聞くと、ほとんどの方が口をそろえてこう言います。
「何を書けばいいかわからなくなってきた」
「いい内容じゃないと出せない気がして」
「忙しくなると、後回しになってしまう」
でも、少し立ち止まって考えてみてください。
情報発信において、本当に大切なのは「完璧な内容」でしょうか?
実は、内容の質よりも大切なことがあります。
それは「続けること」です。
なぜ「続けること」がそれほど大事なのか
人は「忘れる生き物」だから
心理学の世界に「エビングハウスの忘却曲線」という考え方があります。
人は何かを見聞きしても、時間が経つとどんどん忘れていきます。
1日後には半分以上を忘れ、1週間後にはほぼ記憶に残らない—これが人間の自然な仕組みです。
お客様も同じです。
あなたのことを「いい人だな」「また頼みたいな」と思っていても、日々の忙しさの中で、その記憶はどんどん薄れていきます。
だからこそ、定期的に「存在を思い出してもらう」ことが必要なのです。
これは、押し売りや宣伝とはまったく違います。
「そういえば、あの人いたな」「あのお店、最近どうしているかな」と、自然に思い出してもらうための関係のメンテナンスです。
水滴が岩を穿つように、続けることが力になる
雨粒一粒では、岩をへこませることはできません。
しかし、同じ場所に何年も何十年も落ち続けると、やがて硬い岩にも穴が開きます。
情報発信も、まったく同じです。
ブログ、SNS、メールマガジン、ニュースレター—どんな手段であれ、定期的に発信し続けることで、じわじわとお客様の心の中に「この人は信頼できる」「この会社は誠実だ」という感覚が積み上がっていきます。
年に1回の素晴らしい投稿より、毎月の平凡な投稿のほうが、関係が深まる。
これは、多くの経営者が実感を持って語る「現実」です。
「続けられない」本当の理由
では、なぜ多くの方が続けられないのでしょうか。
その最大の原因は、ずばり「完璧を目指しすぎること」です。
・「もっと面白い内容にしないと」
・「誤字があったら恥ずかしい」
・「専門家としての威厳を保たないといけない」
・「反応がなかったらどうしよう」
こういった気持ちが積み重なると、発信することそのものが「大仕事」になってしまいます。
やがて、発信の時期が近づくだけで憂鬱になり、胃が痛くなる—そんな状態になってしまう方もいます。
でも考えてみてください。
友人に送るLINEのメッセージに、毎回完璧な文章を求めますか?
そうではないはずです。
むしろ、ちょっとした近況報告や「こんなこと思ったよ」という気軽なやりとりが、関係を温かく保ってくれますよね。
情報発信も、それでいいのです。
実際の事例—「肩の力を抜いたら、逆に反響が増えた」
ある地方の整骨院の院長の話です。
開業から数年、毎月Instagramを更新していましたが、「ちゃんとした投稿をしなければ」という思いから、写真撮影・文章作成・デザイン修正に毎回数時間をかけていました。
しかし、仕事が忙しくなるにつれてその時間が取れなくなり、更新は2ヶ月に1回、3ヶ月に1回……と間があき始めました。
「これではいけない」と思った院長が試みたのが、「投稿のハードルを徹底的に下げる」こと。
凝った写真をやめ、スマホでさっと撮った院内の様子や、「今日、こんなお悩みを抱えたお客様がいらっしゃいました(もちろん個人が特定されない形で)」という短い文章投稿に切り替えました。
文字数は200字前後。デザインにはほぼ時間をかけない。
すると不思議なことが起きました。
既存のお客様から「先生、最近よく投稿してますね。いつも見てますよ」と声をかけられるようになりました。
予約のお電話の際に「Instagramを見て来ました」という新規の方が増えました。
何より、院長本人が「発信することが楽しくなった」と言います。
内容の質を「下げた」のではありません。
プレッシャーを手放したことで、自然体の発信ができるようになったのです。
そしてその自然体が、見ている人に「親しみやすさ」として伝わったのです。
「続けるための3つの考え方」
では、具体的にどうすればいいのか。
続けるためのヒントを3つお伝えします。
「60点でいい」と決める
情報発信は、試験ではありません。
「60点で出す」と決めてしまいましょう。
完璧な100点を目指すから、発信できなくなるのです。
60点の発信を毎月続けるほうが、100点の発信を年1回するより、何倍も価値があります。
「量より頻度」を優先する
長い記事より短い投稿を。
凝ったデザインより素直な言葉を。
大切なのは、お客様の目に「定期的に触れること」です。
週1回の短い投稿は、月1回の長い記事より、お客様の記憶に残ります。
「ネタ帳」を持ち歩く
「何を書けばいいかわからない」という方に特におすすめなのが、日々の仕事の中で気づいたこと、お客様から質問されたこと、ふと思ったことを、スマホのメモにどんどん書き溜めておく習慣です。
「ネタ」は、日常の中にいくらでも転がっています。
まとめ—「存在を忘れられないこと」が、最高の営業になる
情報発信の目的は、「すごいと思わせること」ではありません。
「忘れられないこと」です。
お客様が何か困ったとき、誰かに相談したいとき、あなたのことが自然と頭に浮かぶ—そういう存在になること。
それが、小さな会社・個人事業の情報発信の、本当のゴールです。
そのためには、たとえ地味でも、たとえ短くても、定期的に発信し続けることが何より大切です。
完璧じゃなくていい。
華やかじゃなくていい。
肩の力を抜いて、「こんなことがありましたよ」「こんなことを思いましたよ」と、気軽に発信を続けてみてください。
続けた先に、きっと「あなたに頼みたい」と言ってくれるお客様が待っています。
この記事が、情報発信への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
